内容説明
移民から市民へ―。その過程と試練。高度経済成長の終焉、外国人労働者の定住化・家族呼び寄せ、難民の流入、それに対応する各国の政策、移民問題の政治争点化…。1970、80年代のヨーロッパは多文化化の社会変動、新たな共生システムの追及、その困難を凝縮して経験した。本書は―社会学徒として、同時代的に西欧の複数の国々に生じた問題と政策についてその意味、意義を解釈し、関連を探り、提示する考察の書である。
目次
序 多文化シティズンシップの可能性―70、80年代ヨーロッパの検証
第1章 「輝ける30年」と外国人労働者
第2章 成長経済の終焉とイミグレーション政策の転換
第3章 定住・社会的文化的受け入れのレジームへ
第4章 移民たちの戦略と定住と
第5章 多文化シティズンシップへ
第6章 政治参加をもとめて
第7章 国籍から自由なシティズンシップ
第8章 多文化化からの反転―移民問題の政治化と排除の論理
第9章 移民第二世代とアイデンティティ
エピローグ 多文化ヨーロッパの現在と試練
著者等紹介
宮島喬[ミヤジマタカシ]
お茶の水女子大学、立教大学、法政大学大学院の教授等を経て、お茶の水女子大学名誉教授(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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Haruka Fukuhara
3
アメリカに関しては反米という立場が存在するが、ヨーロッパに関して反欧という立場は日本に存在するのだろうか。ヨーロッパの専門家の本を読むと必ず欧州贔屓で、欧州に引換え日本は式の議論に持っていかれてしまう気がする。この本も基本的に「ヨーロッパの失敗」を否定する立場で書かれているが、輝かしい一面もありつつ現状は失敗としか形容しえないように見える以上、それを認めない論者の言にどこまで寄り添っていいのかわからなかった。2016年刊。2017/03/29
מיסאה טאנבה
1
ヨーロッパの移民問題の流れが分かりました。 日本でもこれから、外国人労働者の問題が大きくなるでしょう。 外国人と仕事をした事がありますが、正社員の日本人バイトへの態度と外国人バイトへの態度の違いを感じました。言葉の問題が大きいのが原因だと思いますが、少し差別的でしたね。2020/06/22