目次
1 恋愛(兵士、解放者、旅行者;男らしいアメリカ兵(GI)という神話
一家の主人)
2 売買春(アメリロットと売春婦;ギンギツネの巣穴;危険で無分別な行動)
3 レイプ(無実の受難者;田園の黒い恐怖)
著者等紹介
ロバーツ,メアリー・ルイーズ[ロバーツ,メアリールイーズ] [Roberts,Mary Louise]
ウィスコンシン大学マディソン校歴史学教授。ウェズリアン大学卒業、サラ・ローレンス大学で修士号、ブラウン大学で博士号を取得。専門はフランス史およびジェンダー史。主な著作には、ジョアン・ケリー記念賞を受賞したCivilization without Sexes:Reconstructing Gender in Postwar Franceなどがある
佐藤文香[サトウフミカ]
慶應義塾大学大学院政策・メディア研究科博士課程修了。博士(学術)。現在、一橋大学大学院社会学研究科教授。専門は、ジェンダー研究、軍事・戦争とジェンダーの社会学
西川美樹[ニシカワミキ]
東京女子大学文理学部英米文学科卒業。外資系製薬会社(現グラクソ・スミスクライン)の社内翻訳者を経て、フリーランスの実務・出版翻訳者となる(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
こばまり
52
本書のように膨大な記録を掘り起こし、可能ならば証言も得て初めて朧げに立ち上がってくるのが事実ということになる。スポットライトが当たらぬ出来事はやがて風化し、なかったことになる。歴史とはなんと曖昧で脆弱か。2016/03/13
キムチ
43
ロマンス・売春春・レイプの3章構成。どの章でも筆者が投げつけるメッセージが重奏音のように幾度も繰り返される。巻末、橋下氏発言に触れ 本書が日本だけ『慰安婦問題』の証言の根拠として用いられた事に言及している。生々しさは想定内だったが、余りにも米軍の自己正当化が醜悪な為、貪り読み。The Stars and Stripesのプロパガンダのため手段を択ばないといった感じ。レイプを告発すると軍の任務にまつわる神話を根底から覆してしまうから。更に黒人の人種差別問題とすり替え彼らをスケイプゴートにしたてた。2017/02/27
かおりんご
35
歴史。ヨーロッパでの第二次世界大戦については詳しくないので、なかなか読み進められず。内容も想像していたのとは違って、ジェンダーイシューや人種差別でした。橋下さんの慰安婦問題の発言から、この書物に手を出したのだけれど、アメリカの根深い人種問題について考えてしまいました。未だに事件になっているものね。戦後70年が過ぎても、リンカーンが奴隷解放を宣言してから150年以上が経っていても、黒人に対する偏見はなかなか払拭されないものですね。その他の有色人種は、見下されているけど。2016/07/13
松本直哉
22
表向きは兵士の買春を禁じながらコンドームを配るフランス駐留のアメリカ軍のダブルスタンダードに失笑を禁じ得ない。沖縄海兵隊は風俗業を活用すべきと発言した橋下徹に米が示した不快感とも通じるものがある。橋下の身も蓋もなさも米の偽善も男性の視点からとらえた兵士の性の肯定には変わりがない。慰安婦は日本だけではないという相対化がなぜ慰安婦は必要という結論に至るのか。非行を暴かれた少年が俺だけじゃないもんと開き直るのとどこが違うのか。性的搾取という屈辱への共感と想像力のみが戦争と性の二つの暴力への抗議のための一歩となる2018/06/20
てくてく
10
第二次世界大戦、ナチス支配からフランスを解放したとされるノルマンディー作戦の裏で何が行われていたのかということを、アメリカ兵とフランス女性との間のロマンス、売春、レイプ、といった事例に分けて論じている。食糧と同様に女性が兵隊には必要であるとして配置されていた国(ナチスドイツ)と、表向きはそういったものを許していなかったアメリカとの差、フランスは敗戦国ではなくアメリカの同盟国ではあったものの、それでも女性が他国の男性の好きにされることはその国の男性性が脅かされるものであったことが丹念に描かれていた。2015/10/10