目次
第1章 差別化される空間、空間化される差別―現代都市における「微空間」のポリティクス(なぜいま「空間」か;微空間の政治―複数の流動的レイヤーとしての都市空間 ほか)
第2章 変化に溺れる社会の不安―「へんなおじさんを見たら」という掲示板(ある掲示板;「へんなおじさん」に関するエピソード ほか)
第3章 関係をめぐる問い―多重性・個人化・自己決定(問題関心;原点としてのジンメル―関係と現象 ほか)
第4章 ピュアという鏡―戦後社会の自画像(ピュアへの問い;ピュア=理想の時代 ほか)
第5章 「柔らかく、そしてタフな」言葉や論理の創造へ―差別的な日常を私が反芻し反省できるために(はじめに―ある差別事件をめぐる新聞記事から;他者への想像力の劣化と“スマホの下の平等”幻想? ほか)
著者等紹介
町村敬志[マチムラタカシ]
一橋大学大学院社会学研究科教授
荻野昌弘[オギノマサヒロ]
関西学院大学社会学部教授
藤村正之[フジムラマサユキ]
上智大学総合人間科学部教授
稲垣恭子[イナガキキョウコ]
京都大学大学院教育学研究科教授
好井裕明[ヨシイヒロアキ]
日本大学文理学部社会学科教授(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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いまにえる
1
差別と排除について様々な研究者が自分の分野を中心に述べた書。かなり読みやすかった。最後の好井さんは、「面倒だから放置」する新聞社の姿勢を批判しているが、一方で当事者に質問せずただスマホや映画で得た情報を元に安全なところから論じてる感じがして、お前も「面倒だから放置してるやんけ」って気持ちになった。どちらかというと町村さんの『差別現象の多くは、むき出しの排除の暴力によってもたらされるのではなく、自由意志に基づく「善意」のふるまいを通じて、姿を現していく』という差別の認識の方が興味深いと思った。2018/03/08
しまうま
0
5章好井の「差別する可能性から考え」「反差別の主体づくりから他者理解の主体づくり」という点に同意。一方で「そう簡単に他者を理解しがたい」のだとすると3章藤井の指摘する通り関係性の希薄化を好み個人化が進む社会において他者理解の主体をつくっていく試みは困難なものになるのではないか。空間における排除を「ふるまいのコード」という視点から見る1章町村の論は興味深い。2021/07/17