内容説明
政治代表における男女の不均衡を是正するため、候補者・議席の一定数を女性に割り当てる制度、ジェンダー・クオータ。いまや世界の趨勢となっているこの制度をヨーロッパ、アジア、南米の事例から検証し、日本で導入される政治的条件を探る、画期的な試み。
目次
第1章 なぜクオータが必要なのか―比較研究の知見から
第2章 多様な政治的アイデンティティとクオータ制の広がり―日本の事例から
第3章 スウェーデンにおける政党型クオータと女性運動
第4章 フランス共和国とパリテ
第5章 アルゼンチンにおける法律型クオータの導入とその効果
第6章 韓国における女性候補者クオータ制の成立過程と効果
第7章 台湾の女性定数保障制
第8章 スコットランドにおける権限移譲とジェンダー・クオータ
終章 日本におけるクオータ制成立の政治的条件
1 ~ 1件/全1件
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
Kokichi
9
クォータ制について情報収集したかったため読んでみた。読んでみて、日本は国際的にみても女性差別問題が全く解決されていないことを認識した。女は男より能力が低い、給料が低いと無意識に思う自分がいる。その無意識を構成した原因は何であろう?それは、日本の教育、価値観がその無意識を形成しているのであろう。女のくせに生意気だと思ってしまう自分を客観的に見つめるとその理由に合理的な断片的記憶は存在しない。つまり、勝手な思い込みなのだ。まずはその思い込みに気づき、男女関係ない一人の人間と意識することから再考する必要がある。2020/09/30
カモメ
3
小選挙区制は知名度と実績のある当選確率のより高い現職男性が優先され女性候補者に不利となる。クオータを正当化する根拠として①正義論・権利論からの立論で男女は同等であり相違がないのに女性が少ないのは機会の平等が保障されていないから②性差を前提とし女性のものの見方を反映させる為③民主的正統性を高める為、という3つが挙げられる。日本では小選挙区制が割合を多く占めており、地方や地元の複雑性を議会に反映させる「地域的クオータ」と筆者は呼ぶ。各国の事例も幾つか共通点が見出される。2022/07/01