目次
第1章 原水爆禁止運動の発生と展開(“死の灰”事件と初期の原水禁運動;民主主義運動と原水禁運動;原水禁運動の分裂;不発に終わった七〇年安保と高度成長;反公害と環境保護運動の発展;原水禁運動の内面転換;時代逆行の原水禁“統一劇”)
第2章 核兵器の矛盾の深化と民衆運動(原水爆実験をめぐる論争;スプートニク完成とその衝撃;キューバ危機と核をめぐる政治;ABM論争の提起したもの)
第3章 混迷する原子力発電(原子力発電と放射能公害;“たそがれ時代”に入った原発;原子力行政への国民的不信の高まり―「昭和五一年度原子力白書」批判;原子力推進政策の破綻とその背景;プルトニウムと「超高度管理社会」―原子力の提起する新たな危機)
第4章 人類を蝕む核被害の構造(原爆被爆者問題の今目的意味;見はなされてきた水爆実験の被害者―ビキニ水爆実験によるマーシャル群島の被曝調査報告;その後のマーシャルの被曝者たち;人類を蝕む核被害の構造)
著者等紹介
池山重朗[イケヤマジュウロウ]
1931年、茨城県鉾田町に生まれる。東京教育大学文学部卒業。核問題評論家。2007年没(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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壱萬参仟縁
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原子力産業というものは、〝国民の健康を守る〟ことからかけ離れた〝無責任の体系〟から成り立つ(123ページ)。憲法25条生存権の侵害は明白だ。原発では健康は破壊されるだけ。「重要問題が大部分官僚やテクノクラットの掌中に移譲され、国民がそれをチェックする機会はほとんど失われてしまっている」(182ページ)。国民主権が機能しなければ、民主主義を排する原発。作業員の人権も問われるところである。著者は5年前にお亡くなりになった。氏が生きておられたら、3.11原発事故と選挙戦の争点の脱原発をどう判断されたか。想像を。2012/12/07