目次
第1章 事実からの逃走(燃焼と核反応と;魔法のヤカン ほか)
第2章 香山リカ氏の「小出現象」論(香山氏の記事の出現;原発をネットで論じている人々の像 ほか)
第3章 「東大文化」と「東大話法」(不誠実・バランス感覚・高速事務処理能力;東大関係者の「東大話法」 ほか)
第4章 「役」と「立場」の日本社会(「東大話法」を見抜くことの意味;「立場」の歴史 ほか)
第5章 不条理から解き放たれるために(原発に反対する人がオカルトに惹かれる理由;槌田敦のエントロピー論 ほか)
著者等紹介
安冨歩[ヤストミアユム]
1963年大阪府生まれ。京都大学大学院経済学研究科修士課程修了。京都大学人文科学研究所助手、ロンドン大学政治経済学校(LSE)滞在研究員、名古屋大学情報文化学部助教授、東京大学大学院総合文化研究科・情報学環助教授を経て、東京大学東洋文化研究所准教授、2009年より同教授。博士(経済学)(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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百太
27
なるほど面白い。ただただ違和感ばかりで丸め込もうとされる今のコロナ対策にも通じる所ありです。2021/06/03
たばかる
25
2011年著。震災を受けて、学者らの言に根本的な問題点があることを具体的に指摘する。単なる論理の問題(正反)でなく、コミュニケーションの問題(なにが伝わるのか)にリンクする。筆者は原因を大学の環境にあると示している点が興味深い。無意識のうちに作られ継承されてきた語用が、学者としては論理的で当然の作法として、それ以外の人には標準言語として受け入れられてしまっていたということだろう。/自分が物心ついたころ、ちょっと目にした行政文書の前文や大企業の理念だかの文書に対する違和感を思い出した。2021/05/21
出世八五郎
24
子曰く「名を正す。」。東大話法とは御都合主義で会話を進める人♪またはジョージ・オーウェルの1984のニュースピーク?・・・と言えばイメージし易い。是を用いる人は何処にでもいる。原子力報道の殆どは東大話法が用いられた。それを立場主義を理由に解明しようと試みる。立場という単語は漱石作品の中で多様され、standpoint,position,stance,viewpointなどの英単語の意味を包含?すると見る。東大話法は組織を守る立場の者が用いるとあり、これが故に学者としての姿勢を失い御用学者に成り果てる。2019/12/11
柳田
19
けっこう読まれた本らしく、ゼミの教授も読んでいたようだった。まあこの「東大話法」というのは一種のキャッチフレーズだし、見分け方、というか東大話法の特徴リストみたいなのもあるのだが、実際に目の当たりにしたときにどうこう、というのではない。むしろ『ハラスメントは連鎖する』や『複雑さを生きる』のほうに詳しく書いてあるのだが、しかしハラスメントをやる人というのは理不尽で巧妙なので、この本を読んでもどうしようもない、と思った。2018/06/28
ふぇるけん
15
東大話法というと素晴らしいもののように聞こえるが、これは全く反対の意味を持つ、痛烈な批判である。これを東大の教授自身が自己批判しているというのがすごい。原発危機に関する御用学者の発表、ジャーナリストのブログ記事、などなどさまざまな用例からその背後に潜む欺瞞を暴いている。今の話題は原発ではなくコロナであるが、その中にどれだけの東大話法が潜んでいるのか注視したい。2020/08/25
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