内容説明
本書は、わが国が占領期にあった時代に、国連から派遣されて来日したアリス・K.キャロル女史の綴ったレポートの翻訳とその解説である。女史の役割は、創設されて間もない、混迷の真っ只中にあった児童相談所の機構を抜本的に改革し、専門的なソーシャルワークを基盤としたチャイルド・ガイダンス・クリニックとして軌道に乗せることにあった。しかし数多くの貴重な提言は、わが国が占領期を脱した後に反故にされていく。わが国の児童相談所になぜソーシャルワークが育たなかったのかが、本書で明らかにされる。
目次
第1部 Miss Carroll’s Reports A・K・キャロル活動報告書(1949年12月から1950年1月まで;1950年2月まで;1950年3月31日まで;1950年4月30日まで;1950年5月31日までのレポート;1950年6月1日から7月20日まで)
第2部 児童相談所と児童福祉司制度の成立の歴史的経緯(児童保護法案から児童福祉法案へ;成立と施行)
第3部 キャロル女史の来日と実地調査・指導(派遣されたキャロル女史;活動報告書はどのように生かされたか)
著者等紹介
藤井常文[フジイツネフミ]
1949年生まれ。千葉大学人文学部卒業。1973年4月、東京都民生局(現、福祉保健局)に福祉指導職として入都。児童福祉施設、保育学院などに勤務後、児童相談所児童福祉司となる。児童相談所に在職中に明星大学大学院人文学研究科教育学専攻に進学し、2009年3月、修了。教育学修士。都を退職後、2009年4月、渋谷区子ども家庭支援センター専門相談員。2010年4月、明星大学人文学部特任教員となる。社会福祉士
倉重裕子[クラシゲユウコ]
1973年生まれ。1993年イギリス留学を経て、アメリカジョージア州・ケネソー州立大学公共社会福祉学科卒業(Public and Social Services)。在学中、ジョージア州マリエッタ市警察子どもに対する犯罪課でインターン。卒業後、ジョージア州コブ郡家庭児童局児童保護部で児童虐待のインテークワーカーを務める。ジョージア州立大学ソーシャルワーク学部修士課程に入学。在学中、ヒュースポールディング小児病院ソーシャルワーク室でインターン(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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