DV・虐待加害者の実体を知る―あなた自身の人生を取り戻すためのガイド

DV・虐待加害者の実体を知る―あなた自身の人生を取り戻すためのガイド

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  • サイズ A5判/ページ数 451p/高さ 22cm
  • 商品コード 9784750328904
  • NDC分類 367.2
  • Cコード C0036

出版社内容情報

DV・虐待はなぜ繰り返されるのか。社会的通説に隠れ虐待を重ねるDV加害者の心理を暴き、その行動・手口を読み解く。被害者にならないため、またDV加害者から逃れるためにはどうすべきか、具体策を提供する画期的な書。

 日本の読者の皆さんへ
 謝辞
 用語について
 はじめに

第 I 部 加害者の考え方
 第1章 虐待の謎(ミステリー)
 第2章 DV神話──まちがった俗説
 第3章 DV加害者の考え方
 第4章 DV加害者のタイプ

第II部 親密な関係でのDV加害者
 第5章 虐待はどのように始まるのか
 第6章 日常生活でのDV加害者
 第7章 DV加害者とセックス
 第8章 DV加害者と依存症
 第9章 DV加害者と別離

第III部 社会とDV加害者
 第10章 DV加害者はどんな親か
 第11章 DV加害者とその味方
 第12章 DV加害者と法制度

第IV部 DV加害者を変える
 第13章 DV加害者はどのように作られるのか
 第14章 変化へのプロセス
 第15章 虐待のない世界を創る

 監訳者あとがき
 資料 DVに関しての相談機関と保護命令について

はじめに(一部抜粋)

(…前略…)

本書の使い方

 怒りで相手をコントロールしようとする男性と一緒に暮らす女性が必ず経験することの一つに、男性から「何をどう考えるべきか」を執拗に諭され、さらには諭されることで女性が自分の考えや信念をもちにくくしてしまうことがあります。そうした経験をした女性が本書を読んで、不健全な関係を二度と繰り返さないようになることを私は望みます。これから本書を読み進んでいく上で常に心に留めていただきたいのは、私の説明を受け入れると同時に、自分自身でしっかりと考えるということです。私がDV加害者について述べたことのうち一つでもあなた自身の経験と合致しないことがあれば、その部分は外して、合致すると思う部分のみを集中的に読むとよいでしょう。時には本書を閉じて自問してみてください──これは私たちの関係にどうあてはまるのだろうか。相手をコントロールしたり残忍なことをする男性に彼が該当するのなら、彼は何を考え、行動するのだろうか。もし、あなたの経験に関係しない部分があれば──例えば、子どもがいない、相手から身体的な攻撃を受けた経験がない、など──そこは飛ばし、参考になりそうなほかの項目に読み進んでください。
 一人でこの本を読むと、自分の中で重圧となっていた知覚や体感が再びよみがえってきそうで耐えられないという女性がいるかもしれません。そんなときは信頼できる友人や家族たちと一緒にいることをお勧めします。本書を読んでいくと自分自身の立場がより一層明確になるかと思いますが、痛みを伴う苦悩の感覚を再び呼び起こすことになるかもしれません。

(…中略…)

 DV加害者によるコントロールや見下しが日常的なものなら、間違いなくあなたは、一日の大半を相手のことばかり考えているはずです。どうやって彼を喜ばせようか、どうしたら彼は浮気をしないでいてくれるのか、どうすれば彼を変えられるのか等々。その結果、あなたは自分自身のことを考える時間がほとんどなく、あるとしても、「彼は私の何が気に障るのか」くらいでしょう。私が本書を執筆した最大の理由の一つは、読者の想定とは逆かもしれませんが、実はあなたにできるだけ彼のことを「考えない」ように仕向けることです。できるだけ多くの質問に答え、さらには彼の虐待行為がもたらした数々の混乱を一掃することで、あなたが──あなたが母親であれば子どもたちも──相手の仕掛けた心の罠から解き放たれ、本来のあなた自身の人生へ戻るために本書を使っていただきたいのです。怒りで相手を支配したがる男性は、いわば掃除機のようなもので、女性の心も日々の生活もすべて吸い取ってしまうのです。しかし、そこから再び自分の生活を取り戻す道はあります。最初の一歩は、DV加害者が何をしているのかを冷静に見極め、なぜ彼がそうするのか考えることです。本書を読んでいただければ具体的に説明しています。加害者の考え方を深く分析できるようになったら──本書を読めばできるようになります──次のあなたの行動は、一刻も早く水面に浮上して、できるだけ長く水の外へ出ていくことです。これは、必ずしも「彼と別れなさい」といっているのではありません。それは、あなたにしか決められない、非常に込み入った個人的な問題だからです。彼のところにとどまるか、それとも別れるか、いずれの選択をしたにせよ、「彼にこれ以上、私の人生のレンズを歪めさせてはならない、私の心の真ん中に土足で入りこんでくるようなことはさせない」と強く決意するあなたになれるのです。どうか自分の人生を取り戻してください。大切なあなた自身の人生なのですから。

目次

第1部 加害者の考え方(虐待の謎;DV神話―まちがった俗説;DV加害者の考え方;DV加害者のタイプ)
第2部 親密な関係でのDV加害者(虐待はどのように始まるのか;日常生活でのDV加害者;DV加害者とセックス;DV加害者と依存症;DV加害者と別離)
第3部 社会とDV加害者(DV加害者はどんな親か;DV加害者とその味方;DV加害者と法制度)
第4部 DV加害者を変える(DV加害者はどのように作られるのか;変化へのプロセス;虐待のない世界を創る)

著者等紹介

バンクロフト,ランディ[バンクロフト,ランディ][Bancroft,Lundy]
DV加害者専門カウンセラー、臨床スーパーバイザー、監護権評定者、子ども虐待調査官などを歴任。米国マサチューセッツ州にて1000人を超える加害者のケースに関わる。他にもDVがある家庭に育った10代男子のためのグループ活動を行なったり、女性の人権問題などでも精力的に活動

高橋睦子[タカハシムツコ]
吉備国際大学大学院教授(福祉政策論)・(通信制)大学院国際協力研究科長。外務省職員、島根県立大学教授などを経て現職。元ニューヨーク州最高裁判所判事長マージョリー・D・フィールズ氏の島根県での講演会(2002年)で通訳を務めたことをきっかけにDV問題への関心を深め、2006~2008年には国際交流基金日米センターの知的交流助成「ドメスティック・バイオレンス克服に向けての『共感』の促進―市民社会における安全な生活の希求」プロジェクトを実施

中島幸子[ナカジマサチコ]
NPO法人レジリエンス代表。DVコンサルタント、ソーシャルワーカー。DVの被害にあった経験がきっかけとなり勉強を始め、1991年に米国にて法学博士号取得。2001年ごろからDVについての講演活動を開始。2003年にソーシャルワーク修士号取得。同年、東京で「レジリエンス」を結成。東京と横浜で女性のための「こころのケア講座」を毎月行いながら、全国各地で毎年多数の講演を行う。杏林大学非常勤講師、茨城県立医療大学非常勤講師

山口のり子[ヤマグチノリコ]
アウェア代表。男女平等の社会づくりに30年間取り組む。シンガポールではDVやセクシャル・ハラスメント被害者支援および裁判支援をし、ロサンゼルスでは大学院で臨床心理学を学び、DV加害者プログラムのファシリテーター向けトレーニングを受ける。帰国後2002年に「アウェア」を開設して、DV加害者プログラムを、2003年にはデートDV防止教育を始める。本の執筆や講演活動とともに、デートDV防止プログラム・ファシリテーターの養成をしている。CABIP(米国カリフォルニア州DV加害者プログラム協議会)運営委員(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

なるみ(旧Narumi)

29
読友さんのレビューのおかげで読めました。DV加害者のタイプ、DVはどのように始まるのか、DV加害者の日常生活や、味方となる人などの章をじっくり読みました。2022/07/12

katoyann

24
DV加害者プログラムとDV被害者支援の実践家として有名な著者によるDV加害者の実像を説明した本である。邦訳されているDV関連の本ではかなり評価が高いので、おすすめである。 本書ではDV加害者の共通した特徴を「男尊女卑」を強固に内面化している男性として描出している。性格は、自己中心的である。DV加害者の核は相手を所有物と見做すその感覚にあるという。女性を見下しており、女性は自分の言う通りにする必要があると頑なに信じているため、自分が悪いとは思えない。ちなみに危険を見極める方法も書かれている。(続く)2022/07/07

cocco

7
DV後遺症から立ち直るには、加害者の心理も知っておくとよいとのことで読んでみました。 渦中にいる時は混乱の連続で、気が狂いそうになることがしばしばあり、私が間違っているのか、私の頭がおかしいのかという状態でしたが、まさに洗脳とコントロールが原因だったとわかり、少し救われました。 当てはまりすぎてゾッとする文章を読んだ後は、記憶が蘇って苦しくもなりましたが、なかなか人に理解されにくい世界の話なので、もっと世の中にDVについての知識が広まり、暴力・支配のない世界になればいいのになと思います。2018/01/31

とうふ

5
DV加害者の暴力とは理知的に計算ずくでやっているものであるのかと驚いた。暴力を振るったとしてそれは他人にバレないよう巧妙に行う。他人をコントロールする術に長けており手口としてはかなり卑怯だというのが全体の印象。また保護観察官や裁判官、警察官までも巧みに誘導して被害者が悪い様に話の流れを持って行く。不思議なのと少し納得するのは彼らには彼女や配偶者がいるということとそれでも被害者は加害者に変わって欲しいと願っていること。ある種の暴力性が人を惹き付ける部分があるなと思いながら読んだ。2018/04/19

穀潰し

5
「加害者」の生態が生々しすぎるほどにわかる。読みやすい文体だからかよけいに残酷。"虐待は考え方と価値観から生じるもので、感情によるものではない。" 根元に<所有意識>、幹に<特権意識>、枝に<コントロール>がある、【行動】である。とすると、例えば、巷で話題の「アサーション」も、権力者の手にかかれば暴力的な手段になり得る。また、生物学上、お酒は暴力と何の関係もなく、攻撃性の原因となることはまれ、というのは知らなかった。酔って暴れる人は、酔って暴れて良いという特権意識を持っている。再読したい。自戒のため。2014/10/25

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