格差と貧困がわかる20講

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格差と貧困がわかる20講

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  • サイズ B6判/ページ数 256p/高さ 19cm
  • 商品コード 9784750327945
  • NDC分類 368.2
  • Cコード C0036

目次

イントロダクション 格差から貧困へ
第1部 格差社会のいま(男女の働き方にみる現代の貧困;女性問題としての高齢者の格差と貧困 ほか)
第2部 格差と貧困―現場から、世界から(雇用融解の現場から―日雇い派遣、偽装請負を取材して;豊かな社会の貧困問題―多重債務 ほか)
第3部 格差社会のこれから(雇用の未来は明るいか;みんなが笑顔で働ける社会をめざして ほか)

著者等紹介

牧野富夫[マキノトミオ]
日本大学・名誉教授

村上英吾[ムラカミエイゴ]
日本大学経済学部・准教授(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。

出版社内容情報

格差が拡大し貧困層が増大している日本の社会構造を、橘木俊詔、金子勝、湯浅誠らによる20の講義形式で分かりやすく、多面的に解き明かす。日本大学経済学部の特別講義を元に編まれた本書は、大学生から社会人まで、格差・貧困問題の入門書として最適の本。


 はしがき(牧野富夫)

イントロダクション 格差から貧困へ(橘木俊詔)

第一部 格差社会のいま
 第1講 男女の働き方にみる現代の貧困(かむろあや美)
 第2講 女性問題としての高齢者の格差と貧困(横山道史)
 第3講 地域間格差の現状と「都市再生」(宮崎雅人)
 第4講 貧困・低所得問題と社会福祉――格差拡大の先にあるもの(松本一郎)
 第5講 格差と税制――所得税の再分配機能を中心に(其田茂樹)
 第6講 格差社会と移住労働者問題――もう一つの格差と貧困(村上英吾)

第二部 格差と貧困――現場から、世界から
 第7講 雇用融解の現場から――日雇い派遣、偽装請負を取材して(風間直樹)
 第8講 豊かな社会の貧困問題――多重債務(宮坂順子)
 第9講 映画『シッコ』に学ぶ医療格差問題入門(鈴木伸)
 第10講 格差・貧困社会と障害者の自立支援(高橋道子)
 第11講 貧困家庭の子育て・子育ち――母子家庭の教育費を例に(鳥山まどか)
 第12講 「格差」是認の政策思潮の源流――レーガノミクス(宮崎礼二)
 第13講 アメリカにおける経済格差と労働市場(本田浩邦)
 第14講 EUにおける格差と貧困――社会的排除問題を考える(稲葉奈々子)
 第15講 アジアにおける格差と貧困(五石敬路)

第三部 格差社会のこれから
 第16講 雇用の未来は明るいか(小笠原祐子)
 第17講 みんなが笑顔で働ける社会をめざして(伊藤圭一)
 第18講 「格差社会」にどう立ち向かうか(牧野富夫)
 第19講 自由と平等はいかにして両立するか(金子勝)
 第20講 格差と貧困をなくすために私たちにできること(湯浅誠)

 あとがき(村上英吾)

はしがき

 同じような仕事をしているのに、正規と非正規労働者のあいだには、賃金など労働条件に大きな「差」があります。非正規は正規労働者の半分、いやそれ以下というケースもざらです。この種の格差は、正しくは〈差別〉と言うべきでしょう。差別とは「正当な理由なく劣ったものとして不当に扱うこと」(『広辞苑』)だからです。
 この国には、男女の賃金格差など、さまざまな格差が古くから存続します。大企業と中小企業のあいだの賃金格差も依然として顕著です。これらに加えて九〇年代の後半から、雇用形態をテコとした正規と非正規労働者のあいだの賃金格差が新たにクローズアップされています。というのも、その格差が大きいだけでなく、非正規労働者がワーキング・プアとして増大しているからです。九〇年代の半ばに二〇%程度だった非正規労働者の比率が、いまでは三四%まで急増しています。この間、派遣労働者も三倍半に激増しています。いまや年収二〇〇万円以下のワーキング・プアが一〇〇〇万人を超えているのです。
 各種格差の詳細は、以下の各講で明らかにされます。なぜ九〇年代の後半から非正規雇用が急増し、格差が拡がったのでしょうか。その主たる理由として、新自由主義による「構造改革」の展開があります。新自由主義はよく「市場原理主義」だと解説されます。市場に任せるとすべてうまくいく、という考え方だからです。しかし、自然にそのような「市場万能状況」が生まれるのではありません。そこには「規制緩和」などといった〈仕掛け=国の介入〉が必ずあるのです。そして、この〈仕掛け=国の介入〉は〈多国籍企業の利益〉のために行われます。結局、新自由主義とは、1.多国籍企業の利益のために、2.国の強い介入で惹起される、3.市場万能化・競争万能化である――こう定義できるでしょう。つまり、新自由主義とは、多国籍企業という〈強者〉のための、市場の「自由化」・競争の徹底である、と言えます。
 この新自由主義の日本での本格的な具体化・政策化が九〇年代半ば以降の「構造改革」にほかなりません。その目的は、経済のグローバル化のもとでの多国籍大企業の「国際競争力」の強化にあるとされています。
 その多国籍企業の代弁者として政府・財界は、「国際競争力」の維持・強化を理由(口実)に、「高コスト構造の是正」を繰り返し唱えています。それには生産性の低い事業・産業を淘汰し、生産性の高い新たな事業・産業を育成しなければならないとして、これを「市場原理の徹底=競争の強化」という手段で実現しようというわけです。
 このような事業・産業の大再編(構造改革)を行うには、そこで働く労働者の再配置・再編が必要になります。この再配置・再編を〈スピーディーで安上がり〉に成就させるには、〈雇用の流動化・多様化〉が不可欠というわけです。これをねらった雇用新戦略こそ、日経連(現在の日本経団連)が九五年に提起した「新時代の『日本的経営』」にほかなりません。終身雇用などの慣行を打破し、労働力を資本・企業の思うままに「流動化」させ、パートや派遣など非正規労働者の大量利用による雇用形態の「多様化」(差別)を徹底させること――これが財界の雇用新戦略の主たるねらいなのです。こうした雇用新戦略を現実化させるには、労働者を保護するための労働法制が「邪魔」でしょう。そこで以後、政府が財界の意向をくんで、労働法制という公的規制の緩和・撤廃を強行するに至ったのです。このような雇用新戦略の推進を目的とした労働法制の〈解体的緩和〉を、「労働ビッグバン」と言います。ですから、「労働ビッグバン」は「構造改革」の一環であり、両者は一体のものと理解すべきでしょう。
 結局、いま非正規労働者を増大させている直接・最大の原因は、この構造改革と一体の「労働ビッグバン」に求められます。専門性の高い一三業務について例外として派遣労働を認めた労働者派遣法(八五年制定)が、財界の要求にそって九九年に原則自由化され、〇三年には製造現場でも解禁され、その結果、派遣労働者が激増し、とりわけ「日雇い派遣」という究極の「細切れ雇用」を蔓延させたという事実が、そのこと(因果関係)を疑問の余地なく示しています。
 本書は、焦眉の問題=「格差と貧困」を多面的に解明しています。第一線で活躍する各界のエキスパートを結集して編まれたユニークな本です。それぞれの視点・立場から自由に「格差と貧困」問題に光があてられています。各講とも日本大学経済学部における特別講義がそのベースになっています。そのかぎりでは、学生・若者が直接の対象と言えます。しかし、目次のような内容であり、「格差と貧困」に立ち向かう広範な皆さん方にもご活用いただけると自負しています。
(…後略…)