目次
第1部 文化間移動する子どもたちと教育環境(海外で育つ子どもの教育;移民の子どもに対する教育政策;アメリカにいる日本の子どもたち)
第2部 英語と日本語―2つの言語の間で(2つの言葉で育つということは―話し言葉と書き言葉の獲得について;子どもの目から見たアメリカでの言語、学校体験―アンケート調査を踏まえて;アメリカの補習授業校で学ぶ子どもたちの英語と日本語の力;二言語を学ぶ子どもの母親教育―会話力調査と読書力調査をとおして)
第3部 アイデンティティの揺らぎから新たなアイデンティティの模索へ(二言語で育つ子どものアイデンティティ;高校生にとって「日本人」とは―アイデンティティの政治;「第三の文化」をもつ子どもの育成に向けて―子どもたちをいかに支えるか)
著者等紹介
佐藤郡衛[サトウグンエイ]
東京大学大学院教育学研究科博士課程修了、博士(教育学)。東京学芸大学海外子女教育センター教授などを経て、東京学芸大学国際教育センター教授
片岡裕子[カタオカヒロコ]
イリノイ大学アーバナ・シャンペーン校教育学部博士課程修了、Ph.D.(教育学博士)。ノースカロライナ州立大学、オレゴン大学などを経て、カリフォルニア州立大学ロングビーチ校アジア・アジアアメリカ研究学部日本語科教授(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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ヴェネツィア
331
アメリカ在住の8人の女性研究者たち(アメリカの大学院で教育学の学位を取得している)による研究レポート。さまざまな角度から調査・研究が行われているが、それらはいずれも研究のための研究ではなく、在米の日本の子どもたち(滞在期間を含めて事情は実に様々)や保護者になんらかの寄与、あるいはサポートの可能性を真摯に探っている。子どもも親も大変だと思う。いきなりアメリカの(地域によって事情も大いに違うが)小学校や中学校に入って、英語で英語や数学の授業を受けなければならないのだから。プロフィシェント・バイリンガルに⇒2023/01/19
Isamash
8
東京学芸大国際教育センターの佐藤郡衛教授及びカリフォルニア州立大学ロングビーチ校日本語科の片岡裕子教授が編著者で2008年出版。執筆は8名の米国大学修士/博士号有する日本人女性研究者。米国で小中学校経験が有れば皆バイリンガルに成れるとイメージしていたが現実はそうでないことを知った。実際には日本語も英語も年齢相当に習得できていないダブルリミテッドの子供も10%弱存在するらしい。そして英語に習熟し米国に馴染めても余程注意しないと日本語能力は急速に消失し歳相応の日本語習得には補習校等での継続的学習が必要らしい。2021/11/10
salamann
1
めちゃくちゃ面白かった。「アメリカに住んだら子どもはすぐに英語ペラペラでしょ?うらやましー」というよくある誤解を完全に破壊してくれる本。学術レベルのバイリンガルについての話が出てきて興味深い。日本から来た当初は日本語優位でも、そのうち日本語が消えていき、自分の気持ちが英語じゃないとうまく伝えられなくなる。日本語も英語もどちらも満足にできないと言うパターンもある。恐ろしい。補習校の話も面白い。2020/01/21