出版社内容情報
福祉私設「ユリノキ村」(仮称)は、病気、障害、外国出身など多様な要因で社会から周辺化された人びとが形成している共同生活の場である。民族誌的手法により同一性をもたない者同士が共同性を創りだしていく様を考察し、管理社会への対抗文化として捉え直す。
内容説明
本書で対象とする社会福祉施設「ユリノキ村」は、人びとが同一性に至らないばかりか共通性もほとんど備えず、コミュニケーションの成立自体が極めて困難な場である。しかしそうではあっても、ユリノキ村の成員もまた、何かのかたちで「共同性」を創り出しているであろうことが考えられる。それは、結論を先取りしていうならば、意図的・直接的・恒常的に取り結ぶ関係性ではなく、場を共有することにより非意図的・間接的・一時的に取り結ぶことになる関係性である。本書では、コミュニケーション不全の状況にありながらも、否そうであればこそ形成することがある「共同性」について、描き出すことにしたい。
目次
序章 「私はゴミではない」という叫びから
第1章 ユリノキ村の創設から現在まで
第2章 外部の目と内部の目―ボランティアから見たユリノキ村
第3章 対立し合う「自分なりの規範」―「メンバー」の相互関係
第4章 通じない「常識」―「グループホームの人」を含む関係
第5章 組織における統制とユリノキ村
第6章 コミューンにおけるエゴイズム調整とユリノキ村
第7章 新たなコミューンの可能性
著者等紹介
山本直美[ヤマモトナオミ]
1967年愛媛県生まれ。1990年お茶の水女子大学文教育学部卒業。2003年お茶の水女子大学大学院博士課程修了。博士(人文科学)。現在、専修大学、放送大学非常勤講師、関東学院大学キリスト教と文化研究所客員研究員。専攻は文化人類学、社会学(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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魚京童!