アメリカのグローバル戦略―9・11が変えた世界のゆくえ

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アメリカのグローバル戦略―9・11が変えた世界のゆくえ

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  • サイズ A5判/ページ数 245p/高さ 20cm
  • 商品コード 9784750324029
  • NDC分類 319.53
  • Cコード C0036

出版社内容情報

5年前の9・11同時多発テロで、世界は一変したといわれる。アメリカの対外政策が変化をとげるなか、グローバリゼーションの波動は文字通り世界を覆いつくし、変動し続けている。当時の新聞報道を分析することで、現在から未来へとつながる動きを読み解く。

はじめに
第1部 アメリカが主導する民主国家建設
 第1章 アフガニスタンの新しいリーダー
  アメリカのアフガニスタン軍事介入
  アフガニスタン復興のための国際会議
  新しい政府機構をどうするか
  リーダー誕生――カルザイの登場
  カルザイとアメリカの関係
  カルザイの悩み――アフガニスタンに平和を取り戻す
  治安をめぐる危機1――軍閥の強大化
  治安をめぐる危機2――部族間抗争
  治安をめぐる危機3――大臣殺害事件
  治安を維持するのはだれか
  アフガニスタンの将来構想
  イラク問題について
  まとめ――二度とアルカイダをかくまう国にしない
 第2章 アメリカのネーション・ビルディング
  ネーション・ビルディングを行なうか否か
  アフガニスタンでの軍事訓練第一期生
  アフガニスタン治安の実情
  ブッシュ政権の考えに変化が
  平和維持活動のような退屈な戦争
  政権への意欲を見せる元国王
  副大統領暗殺事件
  対立するカルザイとファヒム
  強大な力を持つ地方リーダー
  カルザイ大統領暗殺未遂事件
  平和維持活動は国際社会の重荷
  まとめ――ネーション・ビルディングとは何か
第2部 アメリカの対外援助政策の転換
 第3章 援助額倍増の大合唱と挫折
  求められる新しい自由貿易システム
  自由貿易の推進で貧困削減に取り組む
  援助増額へのかけ声
  新マーシャル・プランの提唱
  途上国援助予算増への動き
  対外援助増額に反対の声
  世界銀行とIMFの活動
  援助増額へブッシュのスピーチ
  モンテレイ会議開催の趣旨
  アメリカが五〇億ドル増の約束
  増額分は改革の国にしかいかない
  まとめ――マーシャル・プランと比較する
 第4章 グローバリゼーションと開発援助
  強まる貿易自由化の議論
  対外援助はうまくいっている
  アフリカの不満
  自由貿易の途上国での問題点
  輸入大国アメリカ
  アメリカの財務長官がなぜアフリカに
  援助資金はどこへいったのか
  成果の出る援助――ボノとオニールの議論
  アフリカのエイズ問題
  アルゼンチンの経済危機
  あわやウルグアイとブラジルも経済危機に
  途上国開発の処方箋――ワシントン・コンセンサス
  まとめ――グローバリゼーションの司令塔
あとがき

はじめに
 私は、途上国を支援する独立行政法人国際協力機構(JICA(ジャイカ))に所属しているが、その機関より派遣されて、アメリカ合衆国ワシントンDC所在の事務所に勤務する機会を得た。このJICA事務所では、主に世界銀行(世銀)などの国際開発機関やアメリカ援助機関との援助協調を進めている。赴任したのが二〇〇一年一〇月三日で、帰国が二〇〇五年三月末、三年半の事務所勤務となった。
 私の赴任は九・一一同時多発テロ事件の直後であり、その後の滞在はアメリカ社会が大きく変化する時期と重なっている。そして、その間の変化は、炭疽菌(たんそきん)事件、何度となく出されるテロ警報、といった日常の問題から、アフガニスタンへの介入、イラク侵攻と、国際的な問題にまで及び、それらが現在につながっていることは周知の通りである。そこで本書は、とくに九・一一から一年間、アメリカの対外政策がどのように形成され、実施されていったのかを明らかにすることを目的としている。
 もとより、アメリカは大国でもあることから、世界の各地域と密接な関わりを持っていた。また、一九八九年一一月にベルリンの壁が取り除かれて以来、冷戦を戦い勝利したアメリカ一国が主導する国際社会ができあがっていた。アメリカをはじめとする豊かな国には、安堵感が充満していた。そこに突然、あの二〇〇一年の九・一一事件が起こったのである。
 気がつけば、開発途上国を中心とする貧困という世界大の問題が目の前に広がっていた。
 そして、貧困と直接間接にかかわる、エイズやマラリアなどの感染症、麻薬やマネー・ロンダリング(資金洗浄)、エスニック・クレンジング(民族浄化)や大量難民といった問題が広がっていた。その一部の国では、ハイジャック、誘拐、自爆テロを行なうテロリストが繁茂していた。にもかかわらず、アメリカをはじめとする豊かな国は、自国の繁栄にのみ目を奪われ、途上国の問題解決に十分対処してこなかった。
 この途上国に対する無関心の流れを変えたのが、九・一一だった。この事件を契機に世界の政府開発援助(ODA)の資金量が激増し、現在では二〇〇五年一年だけでも、それは冷戦時を上回る史上最大となっているが、このことは今や、アメリカをはじめとする豊かな国はこぞって、世界の貧困に立ち向かっていることを示している。
 九・一一直後のアメリカ社会の反応は、まずはテロリストのはびこる国の解放であり、それはアフガニスタンへと向かった。アフガニスタンのタリバンを追い出すことに、それほど困難はなかった。そして、そうした解放の後には、「国づくり」が始まる。この国づくりをどのように行なうのか、これが「ネーション・ビルディング」の課題であり、そこには国際社会に深く関わってきたアメリカ人特有の考え方がある。
 それにしても、ブッシュ大統領が、その二〇〇〇年の大統領選挙戦で、「私は、ネーション・ビルディングは行なわない」と公約していた。このことと、現在のアフガニスタンやイラクを、アメリカ人はどのように考えるのだろうか。私の知る限りでは、日本でアメリカのネーション・ビルディングを題材とする書物にあまり出合ったことがない。
 本書の第1部(第1章と第2章)では、そうしたアメリカ人の「ネーション・ビルディング」の基本的な考え方と、その現実的対応について触れたい。
 次に、第2部第3章は、援助額倍増論の盛り上がりを扱っている。
 思い起こせば、アフガニスタン介入の目処がついた一一月から翌年三月までの間、毎日のように途上国援助に関する記事が新聞紙上を飾っていた。そこでは、新しいマーシャル・プランを実施すべきではないか、IMF(国際通貨基金)・世銀の援助はいったいどうなっているのか、軍事予算を考えると援助予算は少な過ぎるのではないか等々、アメリカをとりまく対外援助の議論が飛び交っていた。
 私のように開発援助にかかわる人間にとっては、それはたいへん興味のあることであり、エキサイティングな日々となった。アメリカ社会の途上国への関心は、これほど高いものなのかとさえ思われたのである。しかし、その後の様子からすると、そうした報道ぶりに私は接したことがない。だとすれば、それら報道は九・一一直後のアメリカの対外政策の議論であり、政策形成の特別な時期にあたっていたと考えられる。
 私は、この時期の、ホワイトハウス、世銀や国連といった国際機関、NGOや大学関係者、途上国政府、ロックバンド「U2」のボノといった多くの関係者が盛り上げていった、途上国支援への熱い思いを書いてみようと思った。この章が本書執筆の直接の動機となったのである。
 そして、第2部第4章では、いろいろな事件を通して、グローバリゼーションと開発援助の関係をあきらかにしたい。
 盛り上がった援助倍増論議のあとアメリカは、途上国の貧困削減について、貿易や投資を含む広い支援を構想している。それは、「グローバリゼーションが世界の貧困を削減する」という考え方を基にしている。帰国して感じるのは、開発援助の専門家の間でも意外なほど、そうしたことを口にする人が少ないことだが、それは当然の議論だと思われているからなのだろうか。

目次

第1部 アメリカが主導する民主国家建設(アフガニスタンの新しいリーダー;アメリカのネーション・ビルディング)
第2部 アメリカの対外援助政策の転換(援助額倍増の大合唱と挫折;グローバリゼーションと開発援助)

著者等紹介

米田博[ヨネダヒロシ]
独立行政法人国際協力機構(JICA)勤務。1950年生まれ。慶応義塾大学法学部政治学科卒業。上智大学大学院修士課程修了(国際関係論専攻)。1980年現法人の前身、政府関係特殊法人国際協力事業団(JICA)に入り、今日まで主に経済社会開発プロジェクトを担当(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。

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