出版社内容情報
若者を取り巻く社会環境が変化するなかで、かれらの働き方・生き方に何が起こっているのか。ニートやひきこもりなどの社会の課題に対して、NPOは社会参加の手段や場所など、どのような役割を果たすことができるのか、どのような問題提起ができるのかを探る。
[特集]若者の「働く」は今――ニート・ひきこもりは問題か?
●問題提起
次代を切り拓くのは若い力――NPOは若者の「受け皿」になり得るのか?(秋葉武)
●座談会
若者の「働く」を考える――NPOの役割とは?(山田昌弘、田中俊英、しぶやゆかり、中田豊一)
●寄稿
若者支援の最前線――ニート・ひきこもりを支えるNPO
(法政大学社会学部専任講師/樋口明彦)
若者の働き方に変化――「好きを仕事に」という呪縛
(サントリー次世代研究所研究員/清木環)
若者の自立をサポートする――コミュニティ・ベーカリーの挑戦
(〔特活〕文化学習協同ネットワーク代表理事/佐藤洋作)
●フォーカス
[NPO紹介]NICEの「若者自立塾・栃木」
●リサーチ
[若者の声]ニート・ひきこもりは問題か?
●オピニオン
スポーツを通じた環境保全と次世代育成(ミズノ株式会社会長/水野正人)
●リポート
指定管理者制度を検証
課題が露呈した北海道の指定管理者選定
(北海道立市民活動促進センターの指定管理者候補者選定結果に異議を唱える会/長崎昭子)
指定管理者制度は適正に運用されているのか(名古屋大学大学院教授/後房雄)
●リポート
国際交流活動団体調査から見えてくるもの(国際交流基金情報センター部長/伊藤実佐子)
●リポート
「愛・地球博」のボランティア活動の成果を未来につなぐ
(愛・地球博ボランティアセンター経営企画委員長/榎田勝利)
●寄稿
アフリカの貧困削減は市民社会の構築から(神戸大学国際協力研究科博士後期課程/遠藤衛)
●検証~協働の現場
ブログを利用したNPOの情報発信と資金調達の試み「ボランタリーライフ.jp」
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編集後記
編集後記
ニートやひきこもりの人に対するメディアをはじめ世間の眼差しは、自分たちの問題として共に考える視点からは程遠い。「格差社会」「下流社会」「勝ち組、負け組」等々、現代社会の変化を説明する表現は、自らの当事者性を排除し、階層を固定化するおごりと諦めにも似たメッセージと受け取れる。秋葉氏の言うように「社会を反映する鏡」としてオルタナティブを提示、具現化してきたNPOこそ、この閉塞感漂う社会に対する突破口となるのではないだろうか。次世代自らが主役となり“新しい社会”を創っていく転換期、ニートやひきこもりという社会現象はその産みの苦しみとしての反応なのかもしれない。
今回の特集テーマについて話すと、年齢、職業、男女の別を問わずほぼ全員から反応があった。また、若者の率直な声を届けたいとアンケートを実施したところ、予想に反してびっしりと埋め尽くされた回答用紙が返ってきた。改めてこのテーマへの関心の高さを実感した。若者とNPO、次代を牽引する力とその器が活躍できる社会に希望を見出したい。