出版社内容情報
広大な自然、長い歴史、さまざまなダンス、魅力的な人びとの暮らしと豊かな文化や意外な日本とのつながり。タンザニアを知ることで私たちの住む国が見えてくる。執筆者たちの30年にわたるつきあいの中から書かれた、タンザニアの魅力がつまった一冊。
はじめに
1 国土と住民
第1章 自慢が多数――地形
第2章 惹きつける力――キリマンジャロ山
第3章 生活に密接に影響――気候
第4章 生活の背景を彩る――動植物
第5章 田舎の豊かさ――国土と人口
第6章 不明瞭な輪郭――民族集団
第7章 多様な組成――住民
第8章 アフリカ外からも移入――住民 2
2 歴史の中で
第9章 ながーい歴史――人類発祥から
第10章 苦難の時代――ヨーロッパ人の来航から植民地化
第11章 抵抗から建国――独立前後
第12章 「国父」として――ニエレレ
第13章 現在から未来へ――二代大統領以降
3 産 業
第14章 輸出用に生産――プランテーション農業
第15章 毎日の食事――小規模農家での生産
第16章 農家の収入――換金作物
第17章 動く財産――家畜飼養
第18章 淡水魚を好む――漁業
第19章 可能性を発現しつつある――鉱業
第20章 国内消費向け――製造業
第21章 金持ちの出現――商業
第22章 大自然が売りもの――観光
4 生活の基盤
第23章 なくては暮らせない――ライフライン
第24章 広くみんなのものに――教育
第25章 広いがゆえの苦労――陸上交通
第26章 遠方を結ぶ――水上交通、航空交通
第27章 日本製が席巻――自動車事情
第28章 仕組みはあるものの――マスコミ・通信
第29章 集団の力学も見える――宗教
第30章 健康への脅威――マラリア・エイズ
第31章 楽しく、美しく――嗜好品・化粧品
第32章 精霊たちの世界――彫刻・絵画
第33章 デフォルメの妙――ティンガティンガ派絵画
第34章 ノリのいい人びと――音楽
5 都市での生活
第35章 道路も畑に――都市での生活
第36章 少しずつ変化――食事
第37章 苦しいやりくり――家計
第38章 庶民の娯楽――映画・スポーツ
6 村での生活
第39章 村の位置を変えてしまう――ニャキュウサ人の社会制度
第40章 ウシの支払い――結婚
第41章 近隣に広める――相続
第42章 朝早くから働く――農村での生活
7 各地の様子
第43章 首都移転は終わったか?――新旧の首都
第44章 交流の中で――国境近くの町
第45章 独自の風土と歴史――ザンジバル
第46章 政治好きの気質――ザンジバル 2
第47章 海から世界に開けた――スワヒリ都市
第48章 土地所有の変化――新開地
第49章 遊ぶ人びと――田舎のマーケット
第50章 白人たちも好んだ土地――高原
8 村から国外へ
第51章 川を渡ると国外――国際的商売
第52章 真剣な状況判断――青年たちの交易
第53章 長くない伝統――ダンス
第54章 接待に疲れる――ダンス大会開催
第55章 つねに移動していた――「定着しない」農民
第56章 どこで、何をしているか――国内の移動
第57章 どこで、何をしているか――国外への移動
9 他国との関係
第58章 広域での動き――タンザニアへの移入
第59章 協力体制へ――周辺国との紐帯
第60章 これからも深めたい――日本との関係
参考文献
あとがき
はじめに
一つの国の全体像を描写しようとすることは、困難な作業である。また、地域を見るときに国の枠組みを使うことが妥当かどうかも考えてみる必要があろう。本書はタンザニアについて、地誌学で一般にとりあげる項目を用いて、ある程度網羅的な観点から紹介を試みている。しかし、かならずしもすべての側面を網羅したり実用に供することは本書の目的ではない。各項目の記述から、全体としてタンザニアの魅力を読者に伝えることを目指した。
一つの地域を紹介するためにはいくつかの手法があるだろう。本書のように大枠として地誌学での項目を踏襲することは、むやみに偏った紹介にならないためのガイドとして有用である。しかし、枠組みだけが決まっても、内容が納得できるものになるためにはさらに別の条件が必要であろう。
本書の執筆者たちは、それぞれタンザニアで長期間暮らし、日常的に長短の側面を見てきた。同時に、他の国や地域と比較するなかで評価する機会にも恵まれた。このような、1長期間にわたり、2日常的なことがらを、3他と比較して評価する姿勢から、読者も納得できる内容が提示できるだろう。
1について、本書の記述の中には一九八〇年代、場合によっては一九七〇年代に執筆者たちが経験した事象から二〇〇五年末の選挙結果まで含まれている。このような個人の継続的な経験と歴史を振り返った知識の成果として本書が成立している。
2の日常的生活の観察は具体的な情報を提供するが、これだけを強調することなく、1の時間的変化、3の他との比較とのバランスのなかで紹介し、読者の理解を深めたい。密着した視点と、比較を駆使しての地域の見方は、タンザニアだけを理解するのではなく、比較対象とした周辺の国ぐにや日本を理解することにもつながっていくだろう。
付け加えれば、執筆者たちはたんにタンザニアを客観的に見ているだけではなく、かなりの程度、この国を好ましく思っていることを記しておこう。やや暖かみがある眼と、客観的な眼の両方で観察した結果が本書になっている。
なお、本書では人名は、政治家、芸術関係の32~34章、ダンス関係のコラム7を除いてすべて仮名である。地名は実名である。また、種々の数量や価格を示す必要があったが、これらは年ごとの変動を免れない。なるべく該当の年を記したのでやや煩雑になったがご容赦願いたい。
編 者
目次
1 国土と住民
2 歴史の中で
3 産業
4 生活の基盤
5 都市での生活
6 村での生活
7 各地の様子
8 村から国外へ
9 他国との関係
著者等紹介
栗田和明[クリタカズアキ]
静岡大学卒業。京都大学大学院博士課程修了。リトルワールド研究員を経て、立教大学教授。理学博士。1983年からタンザニアでの文化人類学調査に従事
根本利通[ネモトトシミチ]
京都大学卒業。ダル・エス・サラーム大学大学院修士課程中退。ダル・エス・サラーム日本語補習校講師を経て、ダル・エス・サラームで旅行社経営。主要関心は東アフリカ海岸から見たインド洋交易史(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
めりこ
K_1