日本の教育と基礎学力―危機の構図と改革への展望

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日本の教育と基礎学力―危機の構図と改革への展望

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  • サイズ A5判/ページ数 224p/高さ 21cm
  • 商品コード 9784750322735
  • NDC分類 372.1
  • Cコード C0037

内容説明

なぜ今、子どもの学力を問題としなければならないのか。そもそも「学力」とは何か、どのような意味で日本の子どもの学力が低下しているといえるのか、それは諸外国と比べてどのような特徴をもっているのか。そして現在の政府、自治体、学校、教師の直面する問題は何か、どこに問題の解決への糸口を求めるべきなのか。本書は、そうした問いに、体系的な分析に基づいて答えていく。

目次

学力問題の構図
第1部 基礎学力問題の構図(社会の危機と基礎学力;転換期の教育危機と学力問題―学力論議と学校の変容)
第2部 国際比較の中の基礎学力(学力論争における国際学力比較調査の役割;PISAをいかに読み解くか―求められる評価リテラシー;国際比較の中の日本型学力―求められる学力育成システム再編の理念)
第3部 国の課題と地域の可能性(義務標準法制改革と少人数学級政策―国の学級編制標準40人の改善は実現できるか;地域からの教育改革・学力向上施策―市区町村のとりくみ全国調査から;基礎学力の平等保障をめざす犬山市の教育改革―研究的教育実践と教育の地方自治)
第4部 学校教師のこれから(教師の力量形成―協働的な知識構築と同僚性形成の場としての授業研究;義務教育の地殻変動と「学力」問題のゆくえ―階層格差拡大を導く「分権化」という名の地域格差拡大政策)

出版社内容情報

学力論争で明らかにされた学力問題の構図を社会の危機と関連づけて明らかにし、国際比較のなかでとらえ直す。東京大学基礎学力研究開発センターによる研究成果のまとめ。教育学・教育行政・政策研究必須の書。幅広い視野からの良質の議論の提起が、日本の社会と教育の未来について問いかける。

序章 学力問題の構図(基礎学力研究開発センター長 金子元久)
第1部 基礎学力問題の構図
 第1章 社会の危機と基礎学力(金子元久)
  1 なぜ、これまで日本の子どもの成績はよかったのか
  2 経済社会の構造転換と学力の危機
  3 学力の危機と将来への可能性
 第2章 転換期の教育危機と学力問題(佐藤 学)
     ――学力論議と学校の変容
  1 はじめに――問題の複雑さ
  2 危機の構造――何が起こったか
  3 実態と構造――何が問題か
  4 展望と課題――学びの高度化へ
第2部 国際比較の中の基礎学力
 第3章 学力論争における国際学力比較調査の役割(市川伸一)
  1 学力低下論争を振り返る
  2 論争当時話題にされた国際学力比較調査の結果
  3 2003年度調査結果をめぐって
  4 どのような学力をめざすのか
 第4章 PISAをいかに読み解くか(村山 航)
     ――求められる評価リテラシー
  1 PISAのテスト結果が示すもの
  2 PISAの質問紙結果が示すもの
  3 PISAのテスト得点は何を測っているのか?
  4 評価リテラシーをつける
 第5章 国際比較の中の日本型学力(恒吉僚子)
     ――求められる学力育成システム再編の理念
  1 国際学力テストと学力の危機言説
  2 国際学力テストと「容赦ない」改革
  3 国際学力テストが測定する新しい学力
  4 ポスト受験社会型学力?
  5 日本型学力育成システム再編を求めて
第3部 国の課題と地域の可能性
 第6章 義務標準法制改革と少人数学級政策(小川正人)
     ――国の学級編制標準40人の改善は実現できるか
  1 学習・教育条件整備は学力政策の一環
  2 義務標準法の国「標準」と都道府県「基準」との関係推移
  3 国の「標準」の変化と地方の少人数学級化のとりくみ
  4 次期(第8次)改善計画策定をめぐる政策論議と課題
  5 負担金問題と第8次改善計画の2006年度凍結
 第7章 地域からの教育改革・学力向上施策(青木栄一)
     ――市区町村のとりくみ全国調査から
  1 教育改革の新しい潮流把握のための全国調査
  2 学力調査――地域における学力向上施策(1)
  3 組織、非常勤講師、カリキュラム――地域における学力向上施策(2)
  4 学力向上施策導入の要因分析
  5 学力向上施策のもたらすもの
 第8章 基礎学力の平等保障をめざす犬山市の教育改革(中嶋哲彦)
     ――研究的教育実践と教育の地方自治
  1 立場を越えて支持される犬山市の教育改革
  2 豊かな学力を保障する30人程度学級とともに学ぶ授業
  3 地方・学校自治的教育改革:「犬山の子は犬山で育てる」
  4 地域教育改革を担う教師と住民自治の集約点としての教育委員会
第4部 学校教師のこれから
 第9章 教師の力量形成(秋田喜代美)
     ――協働的な知識構築と同僚性形成の場としての授業研究
  1 知識社会における専門家としての教師の役割
  2 「事例研究」の場としての授業研究
  3 日本の校内研修の実態
  4 授業研究の場の学習理論とシステム
  5 教師の学習システムの構築を
 第10章 義務教育の地殻変動と「学力」問題のゆくえ(苅谷剛彦)
     ――階層格差拡大を導く「分権化」という名の地域格差拡大政策
  1 教員の年齢構成と若年人口の変化
  2 義務教育人件費の将来予測
  3 広がる都道府県間の格差
  4 教員の需要超過と教員獲得競争
  5 学力論議の土台の変化を見据えて

序章
 21世紀に入って日本社会の最大の関心の一つは、子どもたちの学力の低下であった。低下の事実が確実にデータに示されたとはいえないかもしれないが、社会がいわば突然に学力の低下に大きな関心を向けはじめたこと自体が、実は大きな意味をもっていたと見ることもできる。今まで日本の社会の基礎となり、当然としてきた何かが壊れかけていること、もう一方で将来に向けての準備に欠けているものがあること、そうした漠然とした予感が、学力への関心を高めたのではないか。そして、その予感自体は正しかったと考える。
 しかし、そうした予感が根深い背景をもっているにもかかわらず、いわゆる世論はその解釈や解決を性急に求めようとした。まず批判の標的にされたのは、文部科学省の「ゆとり教育」、学習指導要領が求める各教科の学習内容の削減、「総合的な学習」の導入、あるいは文部科学省の画一的な教育制度などだった。また学校や教師の非効率こそが問題であり、学校選択が解決となるという議論もあった。こうした批判のそれぞれには理由がないわけではない。しかし考えてみれば、「ゆとり教育」の批判も、「ゆとり」以前の教育に回帰すれば問題が解決すると言っているわけではない。あるいは教育の分権化、学校選択などの主張も、具体的にどのような形で学力の改善に結びつくのかを示しているわけでもない。安易な犯人探しと、しばしば政治的な背景から出る思いつきが、むしろ学力問題の展望を見失わせているように見える。
 そうだとすれば、今、求められているのは、幅広い視野から学力問題をとらえ直し、その実態と原因を明確に認識し、さらにそこから学力の再構築の道を構想することであろう。なぜ今、子どもの学力を問題としなければならないのか。そもそも「学力」とは何か、どのような意味で日本の子どもの学力が低下しているといえるのか、それは諸外国と比べてどのような特徴をもっているのか。そして現在の政府、自治体、学校、教師の直面する問題は何か、どこに問題の解決への糸口を求めるべきなのか。そうした問いに、体系的な分析に基づいて答えていくことが求められる。
 本書はそうした視点から、幅広い議論を積み上げるための一つの基礎をつくることを目的としている。本書は4部から構成されており、第1部では、学力問題が現代社会の転換点としてもつ意味、第2部では、学力そして基礎学力の概念と日本的特質、第3部では、政府と自治体、学校、第4部では教師の直面する問題とその可能性、を考える。
(後略)