出版社内容情報
05年総選挙によって誕生した巨大保守権力…首相の靖国参拝、ビラ配布に対する警察の過剰な取り締まりなど、反動が大手を振って跋扈跳梁している。権力に対抗する市民は現在の反動の潮流をどう見、分析し、たたかいを組んでいけばいいのかを多角的に論じる。
特集のことば
目次
[特集]現代の反動を撃つ
現代における反動とは何か(橘川俊忠[神奈川大学教授])
「自由」と「平等」(加藤 節[成蹊大学教授])
中曽根と小泉の連続と不連続(早野 透[朝日新聞コラムニスト])
小泉“信長”は改革者にあらず(佐高 信[評論家])
生きる意欲の喪失―それが大問題だ(沖浦和光)
靖国神社が「反靖国」をつくる(千本秀樹[筑波大学教授])
石原慎太郎発言の凡庸さ(小畑精和[明治大学教授])
軍事化・抵抗・ナショナリズム(道場親信[大学非常勤講師])
共謀罪に反対する(中村順英[弁護士])
ICタグ幻想がつくり出す監視社会(瀬下美和[フリーライター])
「日本の分岐点に立って」―読者に問う
憲法改正問題と東アジア共同体への選択(住沢博紀[日本女子大学教授])
イタリア左翼再生への試練と課題(松田 博[立命館大学教員])
韓国からの問い
九条―アジアのものになりえるか(李 京柱[韓国・仁荷大学教授])
小さな鉄道から日本が見える(大穂耕一郎[鉄道民俗学専攻])
◎座談会
筑波大学女子学生の語るセクシュアリティ
20代子犬(メス)の脱皮論(下)
06春号(VOL.7)予告
『現代の理論』からのお願い
編集後記
特集のことば
二十一世紀に入って六年もたつというのに、六十年前に消えたはずの亡霊が、またぞろ登場してきた気配がする。総理大臣の靖国神社参拝、日の丸・君が代の強制、自衛隊の海外派兵の常態化から、さらに憲法改正、教育基本法改正、防衛庁の省への昇格などが企てられ、パワーとしての国家として再登場しようという動きが急速に高まってきた。かつて共産主義という妖怪が徘徊していた頃、それへの対抗馬として登場したファシズムが、新しい衣装をまとって現れようとしているのか。そうした動きの先にあるものをしっかりと見据えなければならない状況になったことはたしかである。
共産主義の妖怪が、傷つき、衰弱しているのにつけ込むよう登場した亡霊は、構造改革・自由と自己責任・競争原理の導入などを掲げ、あたかもファシズムと対極にたつ自由主義を原理としているかのような相貌を梼つ。そのことが亡霊の正体を見破ることを困難にしている。しかし、時代の雰囲気は、本当の自由を求め、平和な生活を願う労働者・市民にとって次第に閉塞感に満ちたものになりつつある。亡霊の正体を見破り、そうした閉塞感を打ち破って、新しい未来を切り開くためには、亡霊と闘うものが、手傷を