障害者の自立支援とパーソナル・アシスタンス、ダイレクト・ペイメント―英国障害者福祉の変革

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障害者の自立支援とパーソナル・アシスタンス、ダイレクト・ペイメント―英国障害者福祉の変革

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  • サイズ A5判/ページ数 146p/高さ 22cm
  • 商品コード 9784750322339
  • NDC分類 369.27
  • Cコード C0036

出版社内容情報

イギリスの障害者運動の経過の中で生まれたパーソナル・アシスタンス。そして、パーソナル・アシスタントを得るためのダイレクト・ペイメントという制度の実態を分析することで、日本の障害者福祉政策にふさわしい制度・政策を検証する。

まえがき
第1章 ダイレクト・ペイメントの経緯
 1.イギリスの障害者運動とダイレクト・ペイメント
 2.ダイレクト・ペイメント成立までの経緯
 3.ダイレクト・ペイメントの成立
第2章 ダイレクト・ペイメント
 1.ダイレクト・ペイメントの展開
 2.ダイレクト・ペイメント制度
 3.ダイレクト・ペイメントの利用手順
 4.ダイレクト・ペイメントにおけるケアマネジャーの業務プロセス
第3章 パーソナル・アシスタントのマネジメント
 1.はじめに
 2.パーソナル・アシスタント利用のためのアセスメント
 3.パーソナル・アシスタントの求人広告
 4.パーソナル・アシスタントのための業務説明書
 5.パーソナル・アシスタントの求職申請書
 6.雇用主(障害者本人)が行う面接のチェックリスト
 7.パーソナル・アシスタントの週間配置表
第4章 障害者とコミュニティケア
 1.はじめに
 2.コミュニティケアの利用状況
 3.コミュニティケアの利用情報
 4.知的障害者団体のコミュニティケア利用法
 5.英国脊髄損傷者協会のコミュニティケア利用法
 6.英国介護者協会のコミュニティケア利用法
 7.英国視覚障害者協会のコミュニティケア利用法
 8.行政側からみたケアマネジメント
あとがき
参考文献
ダイレクト・ペイメント関連サイト

"まえがき
 我が国の障害者福祉は、さまざまな問題が錯綜し混沌としている。障害者の地域生活支援を標榜した支援費制度も、その有効性を検証することもなく財源不足を理由にわずか3年目で幕を閉じることになった。障害者運動が積み重ねてきた自立生活の理念と実践も、あわただしく国会に上程された障害者自立支援法の中に反映されているとは言えない。このような時期に、あらためて障害者の「自立生活」とは何か、それを実現するための福祉施策はどうあるべきかを検討すべきである。
 そして、本書の主題である、イギリスにおけるダイレクト・ペイメント、あるいはパーソナル・アシスタンスについても、検討の視点に加えてほしい。

 ここで読者に伝えたいことは、ダイレクト・ペイメントは一夜にして制度化されたものではないということで、そして、社会サービス行政との力関係が影響するものだということである。障害のある人が自らの主体的生活、自己決定・自己選択を望む場合も、大きな制度的枠組みを逃れるものではない。予算的制約もつきまとう。制度の実施が始まれば、さまざまな困難も立ちはだかる。それらを理解していただく一方、イギリスの地に着いた障害者運動がこうした制度を推し進めてきたことも感じとっていただければ幸いである。
 
 2003年4月8日、イギリス保健省はプレス・リリースを行った(DoH, 2003)。そのタイトルは「ニーズのあるすべての人々にダイレクト・ペイメントを提供する新法」とうたわれている。保健省大臣の名のもとに、地方自治体によって提供される既存のサービスに替わるものとして、すべての自治体にダイレクト・ペイメントを提供するよう命じる重要な新法をイギリス国民に明らかにするものであった。
 保健省は、次のように述べている(DoH, 2003)。
 「ダイレクト・ペイメントは、社会サービスを利用する成人にとっての自立と選択の向上に重要な手段であり、原動力となるものである。自治体にダイレクト・ペイメントを提供するよう命じることは、その自立と選択の自由を促進する上での自治体の継続的な責任として重要なステップである」。
 「ダイレクト・ペイメントは、個人のニーズを最大限に満たすため、日々の生活を決定する手段を与えるものである。選択権をもつということは、福祉機器やサービスを購入する自由と同様、求めるケアの程度や内容に基づき、それらを購入することができるということである。それは、個人の環境を改善し、より生活の質を高めていくことにつながる」。
 「すべての人は、尊厳ある自立生活を送る権利をもっている。そして、彼らが望む限り、彼ら自身の家で暮らし続けることができる権利をもっている。新たな法と、発展したサポート・ネットワークは、これを可能にする」。
 
 こうして、ダイレクト・ペイメントを利用するということは、障害者自身のニーズにどのように対処するかという課題を検討することになる。その上で、この制度が障害者に選択とコントロールを与えることになるものと理解すれば、まさに障害者の生き方のおおもとに関わる施策と言えよう。
 本論の中でも詳述するが、この制度は、現実には順調に展開しているとは言い切れない。諸種の問題も指摘されている。しかし、イギリスの障害者運動を通して築かれたパーソナル・アシスタンスというシステム、それを経済的に保障するためのダイレクト・ペイメントの法制度確立に向けた諸活動には着目すべきところがある。
 
 一方、我が国の施策は障害者の選択とコントロールについてどう示してきたのだろうか。社会福祉基礎構造改革中間まとめ(1998)、障害者関係3審議会合同企画分科会意見具申(1999)、社会福祉法制定(2000)など、一連の過程で生まれた障害者の支援費制度は、2003年度より実施されてきた。この制度は、「障害者の自己決定を尊重し、利用者本位のサービスの提供を基本として、福祉サービス事業者との対等な関係に基づき、障害者自らがサービスを選択し、契約によりサービスを利用する仕組み」(事務大要の総括、2001.8)とされている。しかし、すでにその予算も大幅に不足し破綻をきたした。
 2004年10月に示された「今後の障害保健福祉施策について――改革のグランドデザイン(案)」(厚生労働省)の中には重度訪問介護や包括報酬払いの事項も示されている。障害者団体の声を反映したものとは言え、障害種別を特定した上での妥協的な給付形態となっている。障害者の真の自立生活をどのように考えるかによって制度化の方向が変わってくるだろう。
 
 さらに介護保険のケアマネジメントと同様、“措置から利用契約”への移行を支えるものとした「障害者ケアマネジメント」の体制整備については、意識的に実践の中で活かす自治体とそうではない自治体での開きを見せている。この障害者ケアマネジメントは、1995年より障害者ケアガイドラインの提示、従事者の養成講習会、試行事業など、体制整備の検討実施がされてきた。そこに示されたケアマネジメントの理念、プロセスというものは、イギリスのコミュニティケアとその実務手続きであるケアマネジメントを部分的に取り入れてきたとみることができる。しかし、形式的には似てはいるが、実質的にははるかに後退したものと言わざるを得ない。本書の主題はダイレクト・ペイメントであるが、その前提にあるコミュニティケア、それを支えるソフトとしてのケアマネジメントにも触れることになる。
 
 なお、著者はロンドンに1995年より毎年定期的に調査に出向いており、近年の障害者に対するコミュニティケアの動きを見てきた。そこで、ケアマネジャー、ダイレクト・ペイメント支援機関のスタッフ、ダイレクト・ペイメント利用者等関係者へのインタビュー、及び入手した保健省・自治体の広報資料・関係論文・雑誌・新聞の記事などの資料をもとにして本書を著した。したがって、イギリス全体(正式国名は「グレートブリテン及び北アイルランド連合王国」。イングランド・ウェールズ・スコットランド・北アイルランドから成る)を示すものではなく、主としてイングランドの制度、及びロンドンの一地域の事例を取り上げていることをお断りしておきたい。さらに、法制度も年ごとに変化しており、本書に示す事柄は現時点までの状況であることをご理解いただきたい。

 また、本文の中でパーソナル・アシスタンス(Personal Assistance)とパーソナル・アシスタント(Personal Assistant)を便宜的に使い分けている。パーソナル・アシスタンスは制度・システムを表し、パーソナル・アシスタントは障害者に雇用されたケア・スタッフ(介助者)を示す。イギリスの文献でも厳密ではないが区別して表すことが多いので、それに従うことにした。

2005年11月
小川 喜道  "

目次

第1章 ダイレクト・ペイメントの経緯(イギリスの障害者運動とダイレクト・ペイメント;ダイレクト・ペイメント成立までの経緯 ほか)
第2章 ダイレクト・ペイメント(ダイレクト・ペイメントの展開;ダイレクト・ペイメント制度 ほか)
第3章 パーソナル・アシスタントのマネジメント(パーソナル・アシスタント利用のためのアセスメント;パーソナル・アシスタントの求人広告 ほか)
第4章 障害者とコミュニティケア(コミュニティケアの利用状況;コミュニティケアの利用情報 ほか)

著者等紹介

小川喜道[オガワヨシミチ]
1948年東京都生まれ。慶應義塾大学法学部卒業。1972年より神奈川県総合リハビリテーションセンターにて、視覚障害、肢体不自由、知的障害関係部門に所属、障害者の地域復帰、障害児の地域療育支援・相談事業等に従事。1995年7月より1年間、ロンドン大学児童保健研究所に留学。地域リハビリテーション、コミュニティケアについて学ぶ。その後、イギリスの障害者福祉を中心に継続調査。2000年4月より神奈川工科大学教員(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。