出版社内容情報
少子高齢化が進む現代日本、団塊の世代の大量定年を迎えつつあるなかで家族・エロスはどのようにさまよい、どこに向かうのか。他国との比較、話題の性愛、家族論の論評から現役学生による座談会などさまざまな側面から現代のエロスに迫る。
特集のことば
緊急特集【巨大権力の誕生と日本の行方】
ゼロ成長時代に希望はあるか(嶌 信彦 ジャーナリスト)
政権はやっぱり闘い取らねば(仙石由人 民主党前政調会長)
自己変革し、一層開かれた党へ(阿部知子 社民党政審会長)
巨大政権の誕生と対抗戦略(山田 勝 本誌編集委員)
特集【性・エロス・家族の行方】
フェミニズムをリアルに生きる(上野千鶴子 東京大学教授)
「わたしたち」という形のせめぎ合い(池田 祥子 本誌編集委員)
忘れられたワークシェアリング(竹信三恵子 ジャーナリスト)
フェミを見切っているつもりのあなたへ(イダ ヒロユキ 日本女性学会幹事)
フランスの家族と家族法改正(丸山 茂 神奈川大学教授)
韓国家族制度の変容(大畑龍次 朝鮮問題研究者)
◎『オニババ化する女たち』をめぐって
戦略としての骨盤底筋(大出春江 大妻女子大学教授)
「フェミニンな身体性」理論とはなにか(河上睦子 相模女子大学教授)
◎座談会
20代子犬(メス)の脱皮論(上)――筑波大学女子学生の語るセクシュアリティ
フォーラム・シアターの実験(花崎 攝)
身体・Hノーマン著(瀬下美和 フリーライタ)
06新春号(VOL.6)予告
編集後記
特集のことば
「性・エロス・家族の行方」とは、方向性も定まらず、何とも曖昧なことよ、と呆れられるかもしれない。しかし、もともと、性・エロス・家族の世界は、上から画一的なモデルを与えられるものではない。人の、生・老・病・死のライフサイクルを含み込み、しかも、人と人との関わり(愛やセクシュアリティ)を軸に動くものである。その生態は、時間とともにつねに変動し、人の個性に応じて、きわめて多様なものである。あらゆる人の「豊かな生活」を保障する政治の課題は、このような変化とともにある多様な「共同の形」を、多様性のまま社会に保障する方途を探ることであろう。
それでも、これまでの社会は、経済的な貧しさや差別的な社会思想のために、多くは上から、画一的な家族モデルが与えられ、社会もまたそれに添って制度化されてきた。戦後の核家族をモデルとする「近代家族」もまた、「恋愛」や「母性愛」という美しいお話に伴われつつ、実は欺瞞の多い社会装置であったことが暴露されている。離婚、晩婚、非婚の増加、さらには少子化という現象も、それを裏付ける「事実」である。
ただし、残念なことに日本では、家族をめぐる政策は、「少子化対策」という対症療
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