出版社内容情報
“もし性虐待のサバイバーが男だったら……”男性が性虐待を受けることのほんとうの難しさ、心と体の癒しへのアイデアなどをやさしく解説した、性虐待を生き抜いてきた男性サバイバーへの癒しのガイド。
この本を手にしたあなたへ
謝辞
はじめに
── サバイバーという言葉について
── 男性サバイバーのあなたへ
── 身近な人に性被害に遭った男性がいるあなたへ
── この本の読み方
第1章 性暴力について知ろう
1.こんな思い込みをしていませんか
── 男性と性暴力のウソ・ホント
2.性暴力って何だろう?
── あなたの性の権利について知ろう
── 性暴力について知ろう
──「同意」と「ちからのバランス」について
── いろいろな性暴力の形
── 知っておくといい性犯罪の法律
第2章 男性が性暴力を受けるということ
1.男性であるがゆえのハードル
── 社会が押し付ける「男らしさ」
── 偏った男らしさ、女らしさ(ジェンダー・ステレオタイプ)
── 男性サバイバーが抱える難しさ
1)誰にも言えない……
2)男ではなくなってしまったのでは……
3)自分は同性愛者になってしまうのでは……
4)自分は同性愛者だからしょうがなかった……
5)加害者が女性だったんだけれど……
6)感情を持つのが怖い……
2.あなたに
3)セルフケア法に入らないもの
3.こんなときどうする?
── もし最近あなたが性被害に遭ってしまったら
1)あなたのいる場所は安全ですか
2)ケガをしていませんか
3)あなたのちからになってくれる人はいますか
4)法的に加害者の責任を問うことを考えていますか
── 心の危機が訪れたら
1)死にたくなってしまったら
2)自分を傷つけたくなったら
3)パニック発作やフラッシュバックが襲ってきたら
4)アルコールなどの使用が止まらなくなったら
5)眠れなくなってしまったら
4.心の傷を癒す
── 傷に向き合う
── 癒しに取り組む形
1)精神科や心療内科
2)個人カウンセリングやセラピー
3)グループ
── 癒しのワークのアイデア
1)自分が立っている位置を知る
2)安全な感覚・環境をつくり出す
3)心とからだをつなげる
4)バウンダリーを再構築する
5)起こったことを見つめ直す
6)失った「声」を取り戻す
7)感情を取り戻す
この本を手にしたあなたへ
1999年夏、さわやかな陽光のなか、「カナダ研修企画」の主催のもとに、性暴力・性虐待の被害を受けた人たちの立場に立った援助を求めて、カナダのバンクーバーを訪れました。
この研修は、ブリティッシュ・コロンビア大学、ジャスティス・インスティテュート(Justice Institute of BC、ブリティッシュ・コロンビア州政府運営の追教育センター)、民間のVISAC(Vancouver-Richmond Incest & Sexual Abuse Center:サバイバー・子どもと家族のためのサポート施設)、BSMSSA(British Columbia Society for Male Survivors of Sexual Abuse:男性サバイバーのサポート施設)を主に性暴力・性虐待に取り組むさまざまな方の協力を得て、1996年~2000年まで主催者は変わりつつも、研修を実現してきました。
研修施設の一つであるVISACを訪れたときのことです。緑の木立に囲まれた建物のなかに、一歩、足を踏み入れると、やわらかな光を放つあたたかな空間に不思議と体の緊張がほどけ、自由感が広がったのを思い出します。訪れた人が自由に手にすることができるコーナーに本やパンフレットが置かれてあり、そのなかの赤や緑の表紙の小さな冊子が一際みには、「そのとき、自分がされていたことの意味がわからなかった」「家族から秘密を強いられた」「20年前、30年前の出来事ですが、受けた心の傷が消えない」「誰にも言えなかった。今、はじめてここに書いています」等、多くの方がそのことから受けた心の傷がいかに深いものであったかを語っていました。この事実は、また、日本の社会が性虐待を受けた人々に対して有効な救済のシステムや権利の回復、そして適切なサポートを持ってこなかったことを如実に示しています。
研修から帰国した私たちは、翻訳作業にとりかかりながら、法制度の不備とともに、日本で性虐待の本質を理解し、取り組み、サポートしていくための社会資源や機会が乏しい現在、カナダからの“贈り物”を日本の実情や当事者のニーズをもとに最も有効で実りある形で、当事者や身近な人々に手渡すことの必要性を痛感したのです。
5年半の歳月を重ね、その想いが、今やっと6巻のガイドブックにまとまりました。
第1巻『親と教師のためのガイド――子どもの性的行動・きょうだい間の性虐待』
第2巻『小さな女の子・男の子のためのガイド』
第3巻『10代の少女のためのガイド』
第4巻『子
目次
第1章 性暴力について知ろう(こんな思い込みをしていませんか;性暴力って何だろう?)
第2章 男性が性暴力を受けるということ(男性であるがゆえのハードル;あなたに性暴力が起こってしまったら;性暴力があなたに及ぼす影響)
第3章 性暴力を生きるちからに変える(性暴力からの回復;回復の旅を進む「乗り物」を準備する;こんなときどうする?;心の傷を癒す)
第4章 未来へ(回復するということ)
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