日本の民族差別―人種差別撤廃条約からみた課題

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  • サイズ A5判/ページ数 402p/高さ 21cm
  • 商品コード 9784750321394
  • NDC分類 316.81
  • Cコード C0036

目次

第1部 人種差別撤廃条約と日本における意義(人種差別撤廃条約の誕生と日本の批准;人種差別撤廃条約の概要と特徴 ほか)
第2部 在日コリアン、移住者をめぐる民族・人種差別の実態―人種差別撤廃条約(ICERD)に基づく検証(ICERD実施をめぐる政府とNGOの報告書;在日コリアン・マイノリティの権利に関する合同NGOレポート ほか)
第3部 人種差別撤廃委員会と在日コリアン、移住者問題(CERDの日本政府報告書審議と民族的マイノリティ問題)
第4部 蔓延する排外主義―最近の動向から(拉致報道と朝鮮学校児童・生徒への暴行・嫌がらせの急増・蔓延;露骨な朝鮮学校差別と民族教育権の否定 ほか)
第5部 民族・人種差別撤廃―国際基準、欧州の経験と日本の課題(人種差別禁止・処罰立法の不作為―CERDの審議、諸外国との比較;ヨーロッパにおける反人種差別法のいま ほか)

著者等紹介

岡本雅享[オカモトマサタカ]
1967年、出雲市生まれ。明治学院大学国際学部卒業。北京師範学院、中央民族学院留学。IMADR(反差別国際運動)事務局員等を経て、横浜市立大学大学院国際文化研究科修士課程修了(1997年、国際学修士)。一橋大学大学院社会学研究科博士課程修了(2000年、社会学博士)。福岡県立大学人間社会学部助教授。1989年より在日韓国人問題研究所(RAIK)国際人権部会。2004年より移住労働者と連帯する全国ネットワーク事務局次長
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。

出版社内容情報

人種差別撤廃委員会(CERD)の日本政府報告書審査に向けた在日コリアン、移住者関連の合同NGOレポートとCERDでの審議・勧告をベースにし、日本の民族・人種差別の実態を検証。国会質問主意書等で入手した未紹介の通達やデータも随所に掲載。

はじめに(岡本雅享)
第1部 人種差別撤廃条約と日本における意義
 第1章 人種差別撤廃条約の誕生と日本の批准(岡本雅享)
 第2章 人種差別撤廃条約の概要と特徴(岡本雅享)
 第3章 人種差別撤廃委員会(CERD)と報告制度の意義(岡本雅享)
第2部 在日コリアン、移住者をめぐる民族・人種差別の実態――人種差別撤廃条約(ICERD)に基づく検証
 ICERD実施をめぐる政府とNGOの報告書(岡本雅享)
 在日コリアン・マイノリティの権利に関する合同NGOレポート(在日韓国人問題研究所(RAIK)編(岡本雅享・佐藤信行・田中宏監修))
  1 はじめに――歴史的経緯と現状(岡本雅享)
  2 政府の人種差別撤廃条約実施状況に関する評価
   朝鮮学校の児童・生徒への暴行事件(岡本雅享+安香秀)
   日本式氏名への変更の圧力(岡本雅享)
   民族教育を妨げず、促進する義務(岡本雅享+安香秀+金光敏)
   就職をめぐる民族差別(金秀一+岡本雅享)
   民族差別に基づく社会保障からの排除(金秀一)
   住民投票における外国籍住民の排除(田中宏)
 移住(労働)者、難民、滞日
第3部 人種差別撤廃委員会と在日コリアン、移住者問題
 CERDの日本政府報告書審議と民族的マイノリティ問題(岡本雅享)
第4部 蔓延する排外主義――最近の動向から
 第1章 拉致報道と朝鮮学校児童・生徒への暴行・嫌がらせの急増・蔓延(宋恵淑)
 第2章 露骨な朝鮮学校差別と民族教育権の否定(宋恵淑)
 第3章 公立学校の民族学級支援策と政府施策の不備――大阪市の事例から(金光敏)
 第4章 「外国人」入店禁止という人種差別(有道出人)
 第5章 移住者の子どもの教育をめぐる近年の動向――ブラジル人の就学、母語教育等を中心に(島本篤エルネスト)
 第6章 ゼノフォビアを招く「外国人犯罪」報道――その作られた虚像(旗手明)
 第7章 国家対策となった外国人犯罪――「警察白書」の浸透と激増する外国人犯罪報道(中島真一郎)
 第8章 改善しない入管収容施設内での人種差別――中国人等に対する虐待の続発と実効性のない不服申し立て制度(高橋徹)
 第9章 入管メール通報制度――政府による人種差別・排外主義の扇動(矢野まなみ)
第5部 民族・人種差別撤廃――国際基準、欧州の経験と日本の課題
 > 日本の反中国・韓国朝鮮主義――東アジアの国際平和・安全への脅威
 <コラム1‐2‐1> ゼノフォビア――新たな脅威
 <コラム1‐2‐2> 日本のゼノフォビア――外人嫌い
 <コラム1‐2‐3> 国籍による区別という名の民族差別
 <コラム2‐3‐1> 引越しで110番された中国人
 <コラム5‐1‐1> 留保と解釈宣言
 <コラム5‐4‐1> アルゼンチンの反人種差別法
 <コラム5‐4‐2> ブラジルの反人種差別法
 <コラム5‐4‐3> 中央政府と地方政府――対等で異なる二つの政治体制
 <コラム5‐4‐4> 法曹界のイニシャティブ
 <コラム5‐4‐5> FTA・EPAと外国人受け入れ議論
表一覧
 <表1‐1‐1> 国際人権条約一覧(2005年1月現在)
 <表1‐1‐2> 日本の国際人権条約批准状況(2005年1月現在)
 <表1‐3‐1> 人種差別撤廃委員会の一般的勧告
 <表1‐3‐2> CERDとHRCの比較
 <表1‐3‐3> 人種差別撤廃委員会(CERD)委員リスト(2001年3月)
 <表2‐2‐1> 帰化許可者数(韓国・朝鮮籍)
 <表2‐2‐

本書の目的と特徴
 本書の出版はCERD審議直後の2001年春に企画され、その時点では巻末に民族差別禁止法案を掲載し、その解説をもって結論とするつもりであった。しかしその後、国際人権条約の履行を重視する議会勢力の減退、人権擁護法案の国会上程と廃案、弁護士主体のNGOによる人種差別禁止法案公表など、状況が大きく変化した。
 こうした目まぐるしい状況変化の中で、本書を刊行する意義は、以下のような点にあると言えよう。まず、本書の中核は第2部の実態報告書であるが、在日コリアン、移住者、難民に関して、ICERDに基づくこれほど詳細で緻密な実態把握と検証作業は、いまだに類書がない点である。立法にあたってはその前提として、現在の日本でICERDに抵触する、どんな人種・民族差別が存在するのか、という立法の必要性を立証する具体的な情報を、より包括的・客観的かつ正確に収集する必要がある。第5部の吉川論文が検証する欧州における反人種差別諸法の制定過程や、千葉県の障害者差別禁止条例づくりの動向がそれを示唆していると言えよう。本書には、国会質問主意書に対する内閣総理大臣答弁書、国会質問によって引き出された、いまだ一般の人の目には触定し、さらにその中でも、ICERDに抵触すると思われる事象に絞っている。それは、本書の中核となる二つの合同NGOレポートを筆者が監修・編さんしたという経緯にもよる。しかしながら第一義的には、本書の目的が、政府が把握していない実態を市民社会で収集・分析し、ICERDという法的規準に基づいてその違法性を検証し、既存の法制度ではICERDの締約国義務を履行することができず、少なくとも刑法等の改定が不可欠であり、さらに人種差別禁止法の制定が望ましい状況にあることを立証する点にあるからである。

本書の構成
 本書はもともと2001年春のCERDレビュー本という位置づけで構想・企画された。その発端からしても、本書の中核は、第2部の実態報告書、第3部のCERD審議レビューとその後の動向検証にある。この実態報告書は作成から4年を経ているので、第2部では統計数字など若干のアップデートを〔 〕で、より大きな状況の変化等はコラム形式で加えた。さらにコラム程度では書ききれない変化の大きいものや、新たに生じた人種・民族差別の動向を明らかにし、分析するために、第4部を設けた。第1部は、第2部、第3部を読む上での前提となるICER18日脱稿)