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男女賃金差別裁判 「公序良俗」に負けなかった女たち―住友電工・住友化学の性差別訴訟

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  • サイズ B6判/ページ数 536p/高さ 19cm
  • 商品コード 9784750321301
  • NDC分類 366.38
  • Cコード C0036

目次

第1章 提訴前史―ネットワーク講座から調停申請まで
第2章 提訴から勝利和解まで
第3章 ワーキング・ウイメンズ・ネットワークとともに
第4章 CEDAWとNGOの関係―日本の場合
第5章 原告たちの手記
第6章 女たちの陳述書
第7章 コース別雇用管理とこれからの課題―均等法改正にむけて
鑑定意見書
資料編

著者等紹介

宮地光子[ミヤチミツコ]
1952年大阪市生まれ。京都大学法学部卒。1979年4月弁護士登録。大阪弁護士会所属。2002年女性共同法律事務所を設立。塩野義製薬・住友生命・住友電工・住友化学・住友金属・シャープ・商工中金・京ガスなどの男女賃金差別是正裁判を担当
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。

出版社内容情報

女性であることを理由に管理職への昇進や賃金で差別されたとして訴え続け、和解を獲得するまでの軌跡。現代の女性が抱えるさまざまな労働問題を明らかにし、間接差別の撤廃を提言する。多くの女性の手記、陳述書、鑑定意見書も満載。

まえがき
凡例
第1章 提訴前史――ネットワーク講座から調停申請まで(宮地光子)
1 「均等法実践ネットワーク講座」
2 相次いだ均等法の調停申請と肩すかしの結論
3 労働組合のあきれた姿勢
4 提訴までの迷い
第2章 提訴から勝利和解まで
1 住友電工性差別訴訟の経過と論点(宮地光子)
2 住友電工事件和解と男女コース別雇用管理をめぐる法的問題(林 弘子)
3 住友化学性差別訴訟(池田直樹)
◎弁護団からのメッセージ
 〈住友電工事件〉吉岡良治/渡辺和恵/長岡麻寿恵/小林徹也/有村とく子/眞継寛子
 〈住友化学事件〉細見 茂/野仲厚治/井上洋子/小山操子
第3章 ワーキング・ウイメンズ・ネットワークとともに(正路怜子/越堂静子)
1 始まりは「日本からの手紙」
2 裁判提訴とWWNの結成
3 WWNの活動
4 マスコミへの働きかけ
5 この一〇年の到達点
第4章 CEDAWとNGOの関係――日本の場合(ハンナ・ベアテ・ショップ―シリング)
1 はじめに
2 女性差別撤廃条約と委員会の主な特徴
3 報告過程におけるNGOの役割
4 選択議定書とNGOの役割
5br>2 男女別コース制をめぐる判決とコース転換制度の合理性
3 均等法改正とコース別雇用管理
4 間接差別禁止の論議で重要なこと
鑑定意見書
 1 マーシャ・A・フリーマン
 2 西谷 敏
 3 山田省三
 4 阿部浩己
 5 エミリー・A・シュピーラー
 6 林 弘子
 7 樋口陽一
 8 上野千鶴子
 9 植野妙実子
資料編
 CEDAW最終コメント(政府仮訳・抜粋)
 住友電工事件大阪高裁和解調書
 住友電工事件判決(抜粋)
 住友化学事件判決(抜粋)
 主要新聞・雑誌報道一覧
 主要テレビ報道一覧
あとがき

まえがき
 二〇〇四年一月六日、新聞各紙は、住友電工男女賃金差別訴訟の大阪高裁での和解解決を一面で報じた。「女性二人の昇格で和解」「勝訴超える和解」「一審覆した固い決意」などの見出しが目を引く大きな扱いは、一審判決以来のこの事件に対するマスコミの関心の高さを窺わせた。
 この弁護団の主任であった私は、新聞報道を見ての問い合わせや原稿依頼、そして相次ぐお祝いメッセージなどに、嬉しい悲鳴をあげる一方で、この日もまた、離婚事件の依頼者の陳述書づくりに追われていた。そこには、長い間、夫の暴言・暴力を受けながら、経済的自立が困難であるがゆえに、じっと耐えてきた女性たちの人生があった。大企業で“一人前”の扱いを受けずに働き続け、やっと裁判で勝利を手にしマスコミの注目を浴びた女性たちと、離婚で全く経済的保障を失ってしまう女性たち。このいずれもが日本の女性の現実であり、そしてこの二つは、確実につながっている。
 弁護士としてこの一〇年余り、この二つの女性の現実の間を、日々の仕事の中で行き来してきた。多くの人に支えられてきたからこそ、やって来られたことには違いないが、何よりも女性たちの現実が、私をここまで駆り立てたのだとりまく差別の構造は、正社員の中の差別から、パート・契約社員・派遣などの雇用形態による差別へと、さらに複雑化し見えにくくされている。しかし差別の外形は異なっても、差別の根底にあるものは共通であり、だからこそ差別の論理を乗り越えるための論理も共通のはずである。そして差別に負けない原動力は、何よりも女性たちのエン・パワーメントのはずである。
 とすれば、住友電工性差別訴訟と住友化学性差別訴訟で展開された、差別の論理を乗り越えるための論理、そして女性たちをエン・パワーしていったものを書き留めておくことは、これからの差別とのたたかいに、大きなヒントを与えるに違いない。そして住友電工性差別訴訟で提出された多くの学者の方々の意見書や女たちの陳述書も、訴訟記録の中だけに埋もれさせるのはもったいない。
 そんな思いから、本書の出版を思い立った。本書の題名の「『公序良俗』に負けなかった女たち」は、私の発案である。
 住友電工訴訟の第一審判決は、昭和四〇年代の男女別採用を憲法一四条の趣旨に反するとしながら、当時の性別役割分担意識と企業の効率的雇用管理を理由に「公序良俗には違反しない」とした。我が国の民法九〇条には、「公ノ秩序r> そんな状況の中で、本著がさらに一人でも多くの「『公序良俗』に負けない女たち」を生み出し、そして励ますことができれば、望外の喜びである。(後略)