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出版社内容情報
「どうしてうちの子は落ち着きがないの?」と悩む親のために書かれた、多動の子どもの支援を目指す解説書。支援の第一歩は、親、教師、地域の専門家がお互いの困難さを理解し合うところから始まる、とADHDへの対応をわかりやすく説いたADHD入門の書。
日本語版によせて(上林靖子)
はしがき
はじめに
第1部 多動とその原因
第1章 多動とは
多動に共通してみられるもの/多動な子どもはどのくらいいるのか?/多動な子どもはいずれも過活動か?
第2章 子どもの多動を評価する
あなたのお子さんには多動の問題があるのでしょうか?/疑いがかかったら、さてどうする?/正確な診断に必要な情報/多動の診断への5つのステップ/検査終了後に期待されること/診断が本当に意味するものは何か
第3章 多動の原因
出産時の脳損傷/病気/てんかん/薬の副作用/食品/鉛/耳の感染症/遺伝/脳損傷/ADHDの脳モデル
第2部 多動な子どもの実態
第4章 ティムは多動な子どもか単なる4歳児か
乳児期/幼児期/親は何をすべきなのか/何ができるのか、何をなすべきなのか
第5章 友達を作ることは無理なことなのか?
友達を作り、友人関係を保つための方法/攻撃性への対応のための提案
第6章 学校での多動な子ども:合わないところに無理やりはめ込む
親が学校の問題に対処するにはどうしたらいいのか?/最適な教室を見つける/宿題を手伝う/全ての多動な子どもたちが特殊学級でェニデートのジェネリック医薬品/他の中枢刺激剤/三環系抗うつ剤/安定剤/他の薬物療法/薬物療法に代わるもの
第4部 結びのことば
第13章 最後に伝えておきたいこと
成功のためのチェックリスト
監訳者あとがき
索引
ADHDで悩む子どもと親のために―日本語版刊行を推す―
サム・ゴールドスタイン、マイケル・ゴールドスタイン両博士による『ADHDの理解と対応:hyperactivity』が日本に紹介されることになったことは一臨床家として喜ばしい限りです。著者らは、臨床の現場に根ざした研究者で、彼らによる臨床家向けの専門書『児童期のADHDの臨床(Managing Attention Deficit Hyperactivity Disorder in Children)』は、最新の研究をふまえた実践的なガイドブックとして国際的に高い評価を得ています。本書はADHDの子どもに関わる親や教師、その他の各種機関の人々に向けられており、簡潔な中にも科学的に検証されてきた事実に依拠する姿勢が貫かれ、読むものに確かな情報を提供しています。
わが国では1998年にNHKの報道番組『クローズアップ現代』でADHDが取り上げられたのを契機に急速に社会的関心が高まりました。その後、医療では診断治療のガイドラインを求めて臨床的な研究が重ねられ、教育においては特別な教育的ニーズとその支援に関心が集まっています。2004年12月に成立した発達障害者支援法は発達障害者の心理機能の適正な発達及び円滑な社会生活の促進をうたっています。ADHDはこのまず、ADHDの基本障害は自己コントロールの発達における問題とするモデルです。もう一つはサム・ゴールドスタインがADHDの治療目標を2つとして、ADHDの症状を軽減し、それによる支障を最小限にするという従来の目標に加え、欠くことのできない要因として困難な状況を速やかに克服する能力を開発する機会をあたえることを上げていることです。彼はこれを立ち直る力(resilience)として研究を続けており新しい成果を発表しています。
ADHDの基本的欠陥は自己コントロールの発達の問題であるとする見解が研究の中で明らかになってきました。以前は、本書でも記されているとおり、注意集中できないことが基本問題と考えられていました。今日ではそれはADHDの一つの表れであるとみなされるようになっています。ADHDをもつ子どもはある条件において集中できなくなります。それは繰り返し、努力がいる、通常は面白くない状況です。このような状況はどんな子どもでもうれしいものではありません。それでもADHDでない子は、注意を持続することができます。ADHDの子どもは、自己コントロールの発達に遅れがあり、集中できないのです。
自己コントロールによってひとは考え、計画し、順序立ててもた息子の各種評価を通じて、父親自らが同じ障害を持っていることに気づきました。そして「こいつは俺よりもましな人生を送れるだろう」と感慨深そうに漏らしました。長い間この父親を苦しめていて、子ども時代から数々のもめ事を経験していたことを語ったのでした。
本書にちりばめられている科学的な裏付けのある「ADHDの理解と対応」は難問を抱えている子どもたちを明るい未来へと導く道標となることでしょう。
2005年4月
上林靖子
中央大学文学部
まめの木クリニック
目次
第1部 多動とその原因(多動とは;子どもの多動を評価する;多動の原因)
第2部 多動な子どもの実態(ティムは多動な子どもか単なる4歳児か;友達を作ることは無理なことなのか?;学校での多動な子ども:合わないところに無理やりはめ込む ほか)
第3部 親にできること(かなわぬ夢か:上手な子育てへの4つのステップ;さまざまな治療の必要性;適切な薬物療法のあり方)
第4部 結びのことば(最後に伝えておきたいこと)
著者等紹介
ゴールドスタイン,サム[ゴールドスタイン,サム][Goldstein,Sam]
博士。児童心理学者。ソルトレイクシティの神経学・学習・行動センターの責任者
ゴールドスタイン,マイケル[ゴールドスタイン,マイケル][Goldstein,Michael]
博士。小児神経学者。ソルトレイクシティの神経学・学習・行動センターの責任者
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
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