出版社内容情報
2004年11月6日に筑波大学で開催された同名の国際シンポジウムの報告書を軸に、その他の論文などを加え、言語学、文学、コミュニケーション論、文化人類学など多角的視点から、英語支配=英語帝国主義の問題点を訴える。
はしがき(津田幸男)
国際シンポジウム【挨拶】
第1部 言語・情報・文化の英語支配 ―― 英語支配研究の位置づけ
【挨拶1】比較市民社会・国家・文化研究と英語支配研究の意義(辻中 豊)
【挨拶2】ことばの壁とコミュニケーション(川那部保明)
国際シンポジウム【講演と討論】
第2部 言語・情報・文化の英語支配 ―― 英語支配への多角的視点
【講演1】言語・情報・文化における英語支配 ―― その実態と問題点(津田幸男)
【講演2】英語支配とセルフ・オリエンタリズム ―― 文化人類学者の立場から(別府春海)
【講演3】韓国の言語・情報・文化における英語支配(イ・スンヨル)〔日本語通訳・金仁和〕
【講演4】情報の国際流通に見る英語支配 ―― 統計的実態分析と日本にとっての諸問題(伊藤陽一)
【討論・質疑応答】英語支配にどう対処したらよいのか?
紙上シンポジウム
第3部 英語支配の未来を探る ―― 4つのエッセイとコメント
1 英語ができなくても幸せに暮らせる世界をめざそう! ――「脱英語言説」の創造(津田幸男)
2 英語支配の将来(別府春海)
3 英語支配の未来を考える ――「古代的未
はしがき
本書は、二〇〇四年一一月六日に筑波大学で開かれた国際シンポジウム「言語・情報・文化の英語支配~地球市民社会のコミュニケーションのあり方を模索する」の報告を中心とし、さらに編者による最近の英語支配研究の成果をまとめたものである。
このシンポジウムは、筑波大学の「比較市民社会・国家・文化特別プロジェクト」という研究組織の助成を得て、その中の「言語と市民社会」研究グループが主催となって開催されたものである。この特別プロジェクトは、平成一五年度から発足し、今年で三年目を迎える。約六〇名ほどの研究員と四〇名ほどの客員研究員により、研究活動が活発に展開されている。この研究プロジェクトは、世界各地の多様な社会・文化の相違を超えて、地球的な共通性・公共性の存在を追究しようとする学際的な共同研究である。今回のシンポジウムは、研究テーマの一つである「地球化時代の市民社会における言語と情報に関する研究」の一環として行われ、当日は約三〇〇名の参加を得た。
現在、世界の言語と情報に関する研究において、英語は最重要の課題であるといえる。英語は「世界標準語」「国際共通語」として語られることが多いが、一方で「英語支配」態と現状について講演と討議がなされた。そして、シンポジウム後に、各講演者に「英語支配の未来」についてエッセイを書いていただき、「紙上シンポジウム」を行った。その他、編者執筆の論文二編と、英語支配研究のいままでの経過を概観した「英語支配論小史」を載せた。また、巻末に「英語支配研究基礎文献」を添え、研究者、読者への一助とした。
本書の出版は、筑波大学「比較市民社会・国家・文化特別プロジェクト」の助成を得て可能になった。ここに深謝の意を表したい。
二〇〇五年三月
編者
目次
第1部 言語・情報・文化の英語支配―英語支配研究の位置づけ(比較市民社会・国家・文化研究と英語支配研究の意義;ことばの壁とコミュニケーション)
第2部 言語・情報・文化の英語支配―英語支配への多角的視点(言語・情報・文化における英語支配―その実態と問題点;英語支配とセルフ・オリエンタリズム―文化人類学者の立場から ほか)
第3部 英語支配の未来を探る―4つのエッセイとコメント(英語ができなくても幸せに暮らせる世界をめざそう!―「脱英語言説」の創造;英語支配の将来 ほか)
第4部 英語支配論の新たな展開―「英語支配システム」の検討(同化と排除のシステムとしての英語支配―関係性の貧困を生み出す「国際語としての英語」;グローバリゼーション、英語支配、ことばのエコロジー ほか)
著者等紹介
津田幸男[ツダユキオ]
1950年神奈川県生まれ。現職、筑波大学大学院人文社会科学研究科教授(現代文化・公共政策専攻)。東京都立雪谷高校英語教師を4年半勤めた後、2度にわたる留学を経て1985年に南イリノイ大学より博士号(Ph.D.)を取得。日本に帰国後、長崎大学助教授、名古屋大学教授を経て2001年より現職。専門は国際コミュニケーション論、国際言語政策論、社会言語学、英語教育
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