ジェンダーと交差する健康/身体―健康とジェンダー〈3〉

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  • サイズ A5判/ページ数 238p/高さ 22cm
  • 商品コード 9784750320649
  • NDC分類 498
  • Cコード C0036

出版社内容情報

お茶の水女子大学ジェンダー研究センター「健康とジェンダー研究プロジェクト」の最新成果をまとめた第3弾。健康・身体をめぐる知の在り方をジェンダー・パースペクティブによって捉え直し組み替えていこうとする本書は、読者に新しい視座を提供する。

序論(根村直美)
1 学問知とジェンダー・パースペクティブ
第1章 看護学におけるジェンダー/フェミニスト・パースペクティブ──「ケア/ケアリング」理論と差異のフェミニズム(朝倉京子)
第2章 倫理学におけるジェンダー・パースペクティブ──「世話(ケア)の倫理学」と「性別秩序改編の倫理学」の視点(根村直美)
2 「リプロダクティブ・ヘルス/ライツ」概念の過去と現在
第3章 戦後沖縄における「リプロダクティブ・ヘルス/ライツ」の萌芽──米軍統治と助産婦による避妊普及活動(澤田佳世)
第4章 リプロダクティブ・ヘルス/ライツに関するバックラッシュとトランスナショナルなNGOによる対抗戦略(兵藤智佳)
3 「健康」「身体」をめぐる「語り」
第5章 月経/生理を語る「場所」(田口亜紗)
第6章 青年期における身体像とジェンダー──高校生の語りより(藤田智子)
4 「男性の健康」研究に向けて
第7章 男性と健康に関する研究・序説──たばこ広告「HOPE」にみる男性の喫煙表象を事例に(村田陽平)
第8章 〈男らしさ〉と生活空間──私的領域に男性の居場所はあるのか(田中俊之)
あとがき(根村直美)

序論
 本書の構成・内容
 本書は、お茶の水女子大学21世紀COEプログラム「ジェンダー研究のフロンティア」の研究プロジェクトにおいて、2003年度(平成15年度)・2004年度(平成16年度)に得られた成果をまとめたものである。本研究プロジェクトは、上記COEプログラムのうちでも、とくに、「身体と医療・科学・技術」をテーマにして営まれたものである。また、この研究プロジェクトは、お茶の水女子大学・ジェンダー研究センターにおいて、2002年度(平成14年度)に立ち上げられた「健康/セクシュアリティとジェンダー」研究プロジェクトの一環でもある。本書は、第一弾『健康とジェンダー』および第二弾『ジェンダーで読む健康/セクシュアリティ――健康とジェンダー2』に引き続き、異なる専門分野・領域の者が、ジェンダー・パースペクティブ(ジェンダーの視点)を取り入れつつ、「身体・医療・科学・技術」「健康・セクシュアリティ」に関わる事柄について考えることを通じて生まれているが、この書ではとくに「健康」「身体」が主要なテーマとなっている。本書は、第一弾・第二弾と同様に、多様な執筆者の手による論文より構成されている。各論文は、相互に関連しれ理論化(ここでは「体系的に説明する試み」のことを指してこの語を用いている)されたものではない。日常的な知を扱うジェンダー研究(第3部・第4部)は、ジェンダー・パースペクティブにより日常的な知を反省的に捉え直し理論化するという意味で、その知を「顕在化」させるものである。そして、日常的な知の「顕在化」を通じてその知を変容させようとする試みと言えるであろう。
 一方、学問的な知は、すでに、日常的な知が自覚的に反省され理論化されたものである。したがって、学問において支配的な状況にある知をジェンダー・パースペクティブにより捉え直し組み換えようとするジェンダー研究(第1部)とは、自覚化され理論化された知をさらに自覚的に反省し、その知をより「よい」ものへと変容させていこうとする試みと言えるであろう。
 「政治的」な知もまた、日常的な知を自覚化することによって生み出されるものである。「対抗知」として生み出されてきた「政治的」な知をより深化させるためのジェンダー研究(第2部)とは、支配的な状況にある「政治的」な知をジェンダー・パースペクティブにより組み換えることで生み出された「対抗知」を、一層反省的に捉え直すことで、その

目次

1 学問知とジェンダー・パースペクティブ(看護学におけるジェンダー/フェミニスト・パースペクティブ―「ケア/ケアリング」理論と差異のフェミニズム;倫理学におけるジェンダー・パースペクティブ―「世話(ケア)の倫理学」と「性別秩序改編の倫理学」の視点)
2 「リプロダクティブ・ヘルス/ライツ」概念の過去と現在(戦後沖縄における「リプロダクティブ・ヘルス/ライツ」の萌芽―米軍統治と助産婦による避妊普及活動;リプロダクティブ・ヘルス/ライツに関するバックラッシュとトランスナショナルなNGOによる対抗戦略)
3 「健康」「身体」をめぐる「語り」(月経/生理を語る「場所」;青年期における身体像とジェンダー―高校生の語りより)
4 「男性の健康」研究に向けて(男性と健康に関する研究・序説―たばこ広告「HOPE」にみる男性の喫煙表象を事例に;“男らしさ”と生活空間―私的領域に男性の居場所はあるのか)