明石ライブラリー
フェミニズムの歴史と女性の未来―後戻りさせない

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  • サイズ B6判/ページ数 730p/高さ 20cm
  • 商品コード 9784750320595
  • NDC分類 367.2
  • Cコード C0336

目次

フェミニズムの歴史的擁護
第1部 フェミニズム以前(ジェンダーと権力)
第2部 複数のフェミニズムの歴史的登場(女性の権利、女性の労働、女性の領域;アメリカ合衆国のフェミニズムに見られる人種とアイデンティティの政治学 ほか)
第3部 労働と家族の政治学(決して終わらない仕事―女性の家事労働;工業化、賃金労働、そして経済的なジェンダー・ギャップ ほか)
第4部 健康とセクシュアリティの政治学(医療、市場、そして女性の身体;再生産―選択の政治学 ほか)
第5部 フェミニストの展望と戦略(新しい言葉、新しいイメージ―フェミニストの日常活動としての女性たちの創造力;後戻りさせない―女性と政治)

著者等紹介

安川悦子[ヤスカワエツコ]
1936年横浜に生まれる。1964年名古屋大学大学院経済学研究科博士課程修了、経済学博士(名古屋大学)。名古屋市立女子短期大学教授、学長、名古屋市立大学人文社会学部教授をへて、現在、福山市立女子短期大学学長。専攻、社会思想史、ジェンダー論

西山恵美[ニシヤマエミ]
1943年名古屋市に生まれる。1965年愛知県立女子大学(現愛知県立大学)卒業。愛知県立大学文学部助手、日本福祉大学助教授をへて、現在、愛知学泉大学コミュニティ政策学部教授。専攻、アメリカ文学
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。

出版社内容情報

この200年の間に、どのようにフェミニズムの運動と思想は拡大してきたのか。フェミニズム以前に、女性たちはどのような権限を獲得してきたのか。その多様なネットワークとは何か。女性運動の世界的な結びつきとともに「地方のフェミニズム」をあとづける。

日本語版への序文
序文
謝辞
第1章 フェミニズムの歴史的擁護
第1部 フェミニズム以前
第2章 ジェンダーと権力
第2部 複数のフェミニズムの歴史的登場
第3章 女性の権利、女性の労働、女性の領域
第4章 アメリカ合衆国のフェミニズムに見られる人種とアイデンティティの政治学
第5章 世界の舞台と居住地の政治学
第3部 労働と家族の政治学
第6章 決して終わらない仕事――女性の家事労働
第7章 工業化、賃金労働、そして経済的なジェンダー・ギャップ
第8章 労働者たちと母親たち――フェミニズム社会政策
第4部 健康とセクシュアリティの政治学
第9章 医療、市場、そして女性の身体
第10章 再生産――選択の政治学
第11章 複数のセクシュアリティ、複数のアイデンティティ、そして自己決定
第12章 ジェンダーと暴力
第5部 フェミニストの展望と戦略
第13章 新しい言葉、新しいイメージ――フェミニストの日常活動としての女性たちの創造力
第14章 後戻りさせない――女性と政治
原注
付表
文献目録
訳者あとがき
索引

"訳者あとがき
 本書は、Estelle B. Freedman, No Turning Back: The History of Feminism and the Future of Women ( New York: Ballantine Books, 2002) の翻訳である。日本語の表題は、副題と本題をひっくり返しているが、原著のとおりに訳せば、「後戻りさせない――フェミニズムの歴史と女性の未来」ということになる。このNo Turning Backという短いフレーズに、歴史学者フリードマンの歴史観、つまり歴史の中に生きる主体としての彼女の強い意志がこめられている。歴史は「後戻りしない」だけではなく、「後戻りさせない」のだと。いささか日本語を理解する著者フリードマンも、この「後戻りさせない」という日本語訳に賛成している。
 本書にたいしては、アメリカの女性史研究の第一人者であるゲルダ・ラーナーが「エステル・フリードマンは不可能な仕事を成しとげた――フェミニズム学と行動主義を見事に統合し、真に学際的でトランスナショナルな研究を成しとげた。女性の運動に関する過去と未来の役割についての彼女の明快な分析は、人に元気を与え、力をあたえるものである」と評し、またハーヴァード大学の歴史学教授であるナンシー・コットも「今日世界中の女性の置かれた状況にけになったのだと彼女はいう。日本への言及が本書においてたびたび見られるのは、こうした彼女の経験による。
 一九六〇年代のアメリカは、公民権運動とベトナム反戦運動がひろがり、アメリカの大学は、全体として変革の気風にみち、政治的にはラディカルな雰囲気が時代の空気になっていた。フリードマンもこうした雰囲気の中で学生時代を送り、マルクスを読み、歴史研究の確たる方法を学んだ。大学院に入るころから彼女は、ベティ・フリーダンをはじめとするアメリカの女性運動の高揚のなかで、フェミニズムに関心をもち、アメリカ女性史を専攻するようになった。このことは本書の「序文」に明らかにされている。
 現在彼女は、スタンフォード大学の歴史学の教授で、同時に同大学の「フェミニズム学プログラム」の創設者でもある。コロンビア大学での博士論文をもとにして書いたTheir Sisters' Keepers: Women's Prison Reform in America, 1830-1930( Ann Arbor, The University of Michigan Press, 1981)は、アメリカの女子刑務所改革運動の成立と変化を扱ったもので、この研究で、フリードマンはシカゴ大学の「ハミルトン賞」をえた。
 (中略)
 本書は、題名のとおりフェミニズンダー」、あるいは「リベラル・フェミニズムとラディカル・フェミニズムと社会主義フェミニズム」といった、これまで対立する局面が強調されてきた「諸」フェミニズムの思想と運動が、それぞれ歴史的、社会的文脈の中に位置づけられ、そうすることで対立を乗り越えるための手がかり、つまり「一つの」フェミニズムを構築する。その道筋があきらかにされている。
 本書の第二の特徴は、フェミニズムを生み出した西洋近代社会、つまり工業化と民主主義にたいするポジティヴな姿勢が基本とされていることである。著者の歴史観は単線的な進歩史観ではけっしてない。しかしそれにもかかわらず、女性と男性の平等の政治学は、工業化、つまり資本主義社会の展開をとおして生み出されたのであり、それを推し進める力は、それを通して生み出された人権(セクシュアリティや労働を含めて)の理念なのだという。地球規模で進む工業化つまり資本主義は、一方で、ジェンダーや人種や階級が絡み合った複雑な位階制システムを作り上げるモメントでもあった。このことを著者は明確に指摘しながら、この位階制を解体させる手がかりも、この工業化から生み出されるとみている。歴史学者フリードマンの面目躍如たると"