出版社内容情報
性的虐待、身体的虐待、ネグレクト、ミュンヒハウゼン症候群と主に4分野について、小児科医、精神科医、ソーシャルワーカーから法学者まで、総勢40名近い専門家による膨大な統計をもとにした各領域最新の研究成果を集成した決定版、待望の邦訳。
序文
謝辞
日本語版への序文
PART 1 性的虐待
第1章 性的虐待を受けた子どもの初期の医療的管理(マ-ティン・A・フィンケル)
第2章 性的虐待を受けた子どもの長期的管理についての考察と課題(エーナ・オラフソン、 バーバラ・W・ボート)
第3章 親子間性的虐待ケースの長期にわたる家族の問題解決に影響する当面の課題(ベンジャミン・E・サンダース、メアリ-・B・メイニッグ)
第4章 性的虐待の医療的側面への長期的影響(キャロル・D・バーコヴィッツ)
第5章 成人期における子ども時代の性的虐待の発見(トーマス・A・レスラー)
PART 2 身体的虐待
第6章 身体的虐待を受けた子どもの初期の医学的治療(ローレンス・R・リッチ)
第7章 身体的虐待を受けた子どもの初期の心理社会的治療──分離の問題(ケリー・M・ドラチ、レズリー・ドヴォエ)
第8章 身体的虐待を受けた子どものための法的介入(アニータ・M・セントアンジ、ミーガン・L・イラム)
第9章 身体的虐待における長期の医学的後遺症(ロバート・H・ワートン、スザンヌ・ローゼンバーグ、ロバート・L・シェリダン、ダニエル・P・ライアン)
第10章 身体的虐待によキンシェルフ)
第18章 代理人によるミュンヒハウゼン症候群の医療(ランデル・C・アレキサンダー)
第19章 代理人によるミュンヒハウゼンの法的側面(ロバート・キンシェルフ、キャサリン・C・アユーブ)
PART 5 複合的トラウマ
第20章 複合的トラウマを負った被虐待児の治療(マーク・チャフィン、ローチェル・F・ハンソン)
PART 6 処遇決定の問題
第21章 加害者の治療(デヴィッド・B・ドゥーリトル)
第22章 治療に抵抗を示す家族(リチャード・J・ゲレス)
第23章 児童虐待の医学的法的見地(ジョン・E・B・マイヤーズ)
PART 7 子どもへの不適切な養育と社会
第24章 児童虐待の影響への理解(キャシー・スパッツ・ウィダム)
第25章 児童虐待治療の研究──現代の関心事と課題(クリス・ラティナー)
監訳者あとがき
索引
著者紹介
監訳者・訳者紹介
日本語版への序文
最近の児童虐待防止法の制定などもあり、日本でも児童虐待とネグレクトへの関心は高まってきており、法の制定は子どもを診ている実践家に国境のないこの問題に気づくよう警告している。そして児童虐待の短期、中期、長期における悪影響も次第にわかってきた。
社会的悪影響は顕著である。児童虐待とネグレクトの影響は広範な望ましくない結果を引き起こす。認知や知的障害、軽度・重度の脳障害、社会行動的な障害、医療的な問題(消化器や婦人科系障害、慢性の診断不可能な疼痛症候群、慢性疲労)といった神経学的影響、攻撃性、衝動性、非行、薬物乱用、売春、乱交、妊娠、犯罪、家庭内暴力、そして次の世代への児童虐待といった心理社会的な影響がある。心理的な影響は、不安、抑うつ、自殺願望、外傷後ストレス症候群、解離、人格障害などを含む。いくつかのうまくデザインされた研究では、子ども時代のトラウマに続いて、構造的あるいは機能的変化が脳に生じることを示している。扁桃体や海馬の解剖学的変化やセロトニンとドーパミン濃度の変化も認められている。
とりわけ虐待といった子どものころの不幸な経験が、医者や精神保健の専門家にかかっている多くの大方に有用なものであることを望むが、何よりも不適切な養育の網に捕らわれた子どもたちとその家族にとって有用なものであればと願う。
目次
1 性的虐待
2 身体的虐待
3 ネグレクト
4 代理人によるミュンヒハウゼン症候群
5 複合的トラウマ
6 処遇決定の問題
7 子どもへの不適切な養育と社会
著者等紹介
リース,ロバート・M.[リース,ロバートM.][Reece,Robert M.]
タフツ大学医学部小児科臨床教授、専門教育研究所所長、マサチューセッツ児童虐待防止協会(ボストン)
郭麗月[カクレイゲツ]
1973年、大阪大学医学部卒業。医学博士。桃山学院大学社会学部社会福祉学科教授、かくにしかわ診療所勤務、心斎橋心理療法センター主宰。神戸大学医学部精神神経科、大阪府公衆衛生研究所精神衛生部、近畿大学医学部精神神経科を経て現在に至る。児童青年精神医学会認定医、青年期精神療法学会常任理事、大阪府精神保健福祉審議会委員、大阪府社会福祉審議会児童措置審査部会委員、兵庫県青少年問題協議会委員
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