きこえない子の心・ことば・家族―聴覚障害者カウンセリングの現場から

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きこえない子の心・ことば・家族―聴覚障害者カウンセリングの現場から

  • 河崎 佳子【著】
  • 価格 ¥1,320(本体¥1,200)
  • 明石書店(2004/10発売)
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  • サイズ A5判/ページ数 113p/高さ 22cm
  • 商品コード 9784750320083
  • NDC分類 378.2
  • Cコード C0036

出版社内容情報

きこえない子どもたちの成長過程における困難とは? 絶対多数の聴者社会の中できこえずに生きるとは?「きこえ」の異なる親と子の関係形成とは? 臨床心理士としての数多くの出会いや体験から、聴覚障害者の人格形成における言語=手話の重要性を訴える。

はじめに――親子喧嘩
[1]手話という「話しことば」
1 ウルトラマンタロウとウルトラマンレオ
2 「人とかかわる能力」の始まり
3 せつない やるせない くるおしい
4 ぼく、大きくなったらきこえるようになるの?
5 「関係性」を生きる
6 ゴミ箱に散ったお弁当の「傷」
7 問題の顕在化・低齢化と「手話」
[2]きこえない人々の心に触れて
1 「きこえなかったら言いなさい!」
2 コーラス大会の朝
3 爆発的な行動化
4 私はあなたの身体には触れないわよ
5 底なし沼の暗闇
6 きこえない「事実」
7 鎖につながれた象
8 「本人」から学ぶ
[3]きこえの異なる親と子
1 ママはきこえないの。だから、おててで話そうね
2 親への同一化
3 世代間伝達――コーダの心を守りたい
4 マンハッタン・スクール47
5 心の安全基地
6 ぼく、きこえない人になってもいいの?
7 意味を生きる
おわりに――臨床心理学という視点
あとがき

はじめに――親子喧嘩
 ある会合でお会いした手話通訳士の方から、「親子喧嘩の通訳を依頼されることがある」という話を聞いた。何とも複雑そうな表情に映った。本来ならば他人が踏み込むことのない状況に、立ち会ってしまった「後味の悪さ」だろうかと感じた。
 きこえる親ときこえない息子、きこえない親ときこえる娘――。どんなかたちにせよ、親子が喧嘩をするのに通訳を求めなければならないという実態は、何とも悲しく、寂しい事実である。けれども、たとえ通訳を介してではあれ、「言い争ってみよう」と思える関係にある親子は、ある意味では、まだ幸いだと言えるのかもしれない。そこには、「伝わればわかり合えるはず」という希望が存在するからである。
 筆者は、心理カウンセラーとして多くの聴覚障害者とその家族に触れるなかで、そんな希望からはほど遠い、わかり合えるはずもない「関係」を目の当たりにしてきた。きこえの異なる親と子の間で交わされた会話の多くは、残念ながら、コミュニケーションと呼ぶにはお粗末すぎた。
 インテグレーションで私立の高校を卒業した息子は、大学受験に失敗したのをきっかけに、すっかりやる気をなくして自室に閉じ籠もってしまった青年も、まもなくあきらめて、遠い目であらぬ方向を見つめ出す。絵に描いたように、みんな同じである。そして、母親と筆者が話している文脈とはまったく異なる話題を口にし始める。独りで笑ったり、怒ったりする青年もいる。
 この情景はいったい何を意味するのか。このような状況を作り出した教育とは何なのか? 親と子が喧嘩もできない「現実」と引き替えに、「きこえなくても、努力次第で、健聴者と同じように話せます」という謳(うた)い文句が聴覚障害者に与えたものとは何なのか。

 ろう教育において手話が否定されるようになったのは、一八八〇年にミラノで開催された「第二回ろうあ者教育国際会議」以来であるという。この会議は、それまで百年にわたってつづいてきた手話での教育を排し、口話教育に移行すべきであると決議した。手話はろう者を「聾唖の世界」に閉じこめるものであり、音声言語の習得なくして彼らの幸福はないと考えられたのである。以後、世界的な規模で口話法が広がっていった。
 日本では、欧米より約半世紀遅れた大正年間以降、手話を全面否定する口話第一主義が主流となった。聴覚障害教育の目標は日本語の習得であり、それは、日本語の発語訓練と読話んと独りで存在しているろう児の姿が、筆者の胸に焼きついた。「どうして!?」と問いかけながら――。
 あれから十数年。臨床心理士として聴覚障害者に出会ってきた体験は、筆者自身の抱いた疑問にどんな答えを与えてくれたか。それを、この本をとおして書きつづってみたいと思う。

目次

1 手話という「話しことば」(ウルトラマンタロウとウルトラマンレオ;「人とかかわる能力」の始まり;せつない やるせない くるおしい; ほか)
2 きこえない人々の心に触れて(「きこえなかったら言いなさい!」;コーラス大会の朝;爆発的な行動化 ほか)
3 きこえの異なる親と子(ママはきこえないの。だから、おててで話そうね;親への同一化;世代間伝達―コーダの心を守りたい ほか)

著者等紹介

河崎佳子[カワサキヨシコ]
京都大学大学院教育学研究科博士課程修了。仏教大学「心理クリニックセンター」勤務を経て、2000年より仏教大学教育学部助教授、専門は臨床心理学。臨床心理士。1990年の手話との出会いをきっかけに、聴覚障害者を対象とする心理臨床に取り組んできた。2000年秋から1年間、ニューヨーク・レキシシトンろう学校にて研修
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感想・レビュー

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ドシル

0
手話もできる臨床心理士による、聴覚障害者のカウンセリングの実態や課題がわかりやすくまとめられている。2012/03/02

あんみつ

0
難聴やいろいろな事情で耳の聞こえない親子がコミュニケーションを取っていく話。その中でも私は手話を使わずに口話でコミュニケーションを取ろうとする母親が年中の娘に言った言葉に感動させられました。母親があの言葉を娘に発するのにどれだけの勇気を振り絞ったのだろうと考えると母親ってとても強くなれるものなのだと思いました。2015/02/03

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