出版社内容情報
地域、民族、言語など様々な異なるアイデンティティを背景にする多様な文化をどのように知り、記録し、比較していくか。グローバル化が進む中、世界の多様な価値観を知る学問をわかりやすく紹介する。
はしがき
序章 総論
比較文化論序説
はじめに
一 比較文化の目的と方法
二 文化的アイデンティティと普遍的なるもの
第一章 生活の中に文化比較の視点を求める
第一節 キーワードとしての「民俗」
一 「比較文化」を探す
二 二つの正月―正月と小正月
三 キイロダカラ―沖縄のフィールドワーク
四 campur とチャンプルー―東南アジアと日本
五 比較文化学への第一歩
第二節 等身大の異文化コミュニケーション
一 ところ変われば品変わる―合理性は生活背景によって異なる
二 現代都市伝説と異文化理解―偏りは〈はやり話〉を通して自らの所在を語る
三 異文化コミュニケーションをめぐって―発信者と受信者の間に介在するもの
第三節 日常生活とスポーツ
一 スポーツの現状
二 見るスポーツ
三 行うスポーツ
四 これからのスポーツ
第二章 異文化受容の足跡をたどる
第一節 古代日本における中国文化の受容
一 一世紀―倭人の登場
二 三世紀―『魏志倭人伝』の世界
三 五世紀―「倭の五王」の時代
四 七世紀―遣隋使・東アジア文化圏韓関係の歴史と現状
三 日朝関係の歴史と現状
四 北東アジアにおける日本の課題
第三節 日本人と英国―蘇格蘭議会の誕生・移り変わる英国像
一 英国とはどんな国
二 日本の近代化と英国―その対応の移り変わり
三 英国にみる地方分権―「連合王国」の現実
四 スコットランド議会と今後の英国
第四節 日本人とドイツ人の歴史意識の比較―戦後半世紀を経て
一 ドイツで知ったこと
二 戦後四十年目のドイツ大統領演説の意味
三 ドイツと日本の戦後五十年
第四章 言葉と音に文化の結実をたどる
第一節 「『さ』入れ」の構造
一 無意識の意識
二 新たな〈制度〉
三 使役と謙譲の関係について
四 「読ませる」と「合わせる」
第二節 若い詩人たちの群れ―明治二十年代の青年たち
一 異端の青年たちが求めたもの
二 苦悶の時代―「言葉」と「自我」の模索
三 新しい文学へ向かって―「外部」と「内部」
四 「まことの我」の発見
五 『あひヾき』―テーマとしての「自然」と「描写」
第三節 民族音楽学・異文化理解のためのサウンドスケープ論
一 街の音に「
はしがき
本書は、「比較文化」に関心を持つ方々のための案内書である。
ごく日常的にも直接間接に異文化との接触を免れない今日、「比較文化」という言葉に関心を寄せている人々は多いと思われる。その一方で、具体的な内実が共有されないまま、「比較文化」という言葉だけがひとり歩きしているのも実状ではなかろうか。本書は、自分の関心にもう少し明確な方向を与えてみたい、一度きちんと考察してみるきっかけと足場がほしい、と考える方々に、「比較文化」の研究・教育に携わるいわば現場から、ひとつのサンプルを提供する試み(として企画されたもの)である。
本書の構成は、ふたつの軸の交差するところから発想されている。ひとつは、目次からも明らかなように、受容・現状・課題という時系列に沿った「歴史研究」である。これを縦軸とすると、もう一方の横軸は、執筆者各自が守備範囲とする日本・アジア・ヨーロッパの「地域研究」である。そして、この両軸の交差点をさらに包括するのが、執筆者自身の立脚点を「自己省察」に跡付ける視点である。議論の対象に対する関心と切り口が論者自身の中でどのような経緯に基づいて形成されてきたのか。この反省を欠くところにそもそも
目次
序章 総論
第1章 生活の中に文化比較の視点を求める
第2章 異文化受容の足跡をたどる
第3章 歴史と国民と相互理解の課題と
第4章 言葉と音に文化の結実をたどる
終章 異文化交流の実際