国際人権法マニュアル―世界的視野から見た人権の理念と実践

  • ただいまウェブストアではご注文を受け付けておりません。
  • サイズ A5判/ページ数 467p/高さ 21cm
  • 商品コード 9784750318691
  • NDC分類 329.21
  • Cコード C0032

出版社内容情報

国際人権法の概念的枠組みと採択した人権基準を分析し、整理した、国際人権法のマニュアル。人権活動家、教師、学生、ジャーナリスト、政治家、法執行官、公務員、警察の構成員など、人権問題に関わる人必携の一著。

第1部 人権の概念
第1章 国際人権法の歴史的展開(トーマス・ブーゲンソール 望月康恵訳)
 はじめに
 1 歴史的先例
 2 現代の国際人権法
 3 制度の形成
 4 国際人権法の実施と冷戦後の世界
 5 個人の責任、少数者の権利、集団的人道的干渉
 結び
第2章 人権の哲学的基礎(ジェローム・J・シースタック 望月康恵訳)
 はじめに
 1 人権の性質
 2 人権の淵源
 3 現代の人権理論

第2部 市民的、政治的、経済的、社会的および文化的権利
第3章 市民的および政治的権利(マンフレッド・ノワック 滝澤美佐子訳)
 はじめに
 1 市民的および政治的権利の承認
 2 国家の義務
 3 生命に対する権利
 4 拷問の禁止
 5 奴隷制の禁止
 6 身体の自由および安全
 7 民事および刑事裁判における手続的保障
 8 移動の自由および恣意的追放からの保護
 9 プライバシーの権利、婚姻、家族生活の権利および子どもの権利
 10 政治的自由
 11 政治的権利
 12 平等および非差別
 13 その他の権利
第4章 経済的および社会的権利(ア第6章 女性の権利(カタリナ・トマチェフスキー 滝澤美佐子訳)
 はじめに
 1 差別禁止の進展
 2 世界的な最低基準の定義づけ
 3 政府による人権保護義務
 4 「公」と「私」の区別を越えて
 5 出産の役割と平等権のバランス
 6 個人と家族の権利のバランス
 7 女児への平等権の承認
 8 女性の人権の主流化
第7章 子どもの権利(ユーリ・コロソフ 秋月弘子訳)
 1 子ども
 2 国内法における子ども
 3 子どもの権利に関する条約
 4 子どもの権利に関する条約の特徴
 5 保護されるべき自然権
 6 市民的、政治的および文化的権利
 7 社会的および経済的権利
 8 基本的一般原則
 9 困難な状況における子どもの権利保護
 10 子どもの権利を保護する責任
 11 子どもの権利委員会
 12 世界子どもサミット(一九九一)
 13 世界人権会議(一九九三)
 結び
第8章 少数者に属する者の権利(ハースト・ハナム 富田麻理訳)
 はじめに
 1 歴史的展開
 2 現代法における少数者の権利の中身
 結び
第9章 世界の先住民族の保護

監修者はしがき 横田洋三
 私はこの十数年間、国連の人権促進保護小委員会(人権小委員会)などに出席し、国際的な場面で人権に関する議論に参加する機会があった。また、日本でも、国際法学会や国際人権法学会などにおいて、人権に関する議論に関わってきた。
 この経験を通して強く感ずることは、国際的な場で議論されている重大な人権問題と日本で議論されている重大な人権問題が、大きくズレているということである。
 たとえば、過去一六年間私が代理委員または委員として毎年出席してきた人権小委員会では、かつては南アフリカのアパルトヘイトや中南米諸国の独裁政権のもとの重大な人権侵害が大きく取り上げられていたが、当時、日本の学会では、これらの問題はほとんど議論されていなかった。また、最近、人権小委員会では、児童労働、女性の健康に有害な影響を与える伝統的慣行(とくに女児割礼)、性的搾取を目的とする国境を越えた人身売買、先住民族の人権、貧困と人権、グローバリゼーションと人権などが新しい人権問題として注目を集めているが、日本ではこれらの人権問題が学会で取り上げられることはあまりない。
 他方、日本で大きな人権問題とされている代用監獄や会の古くからのメンバーで、個人的にも親しくさせていただいてきた。人権の学者、実践家としてはもちろん、人間的にも素晴しい人たちである。それ以外の各章の執筆者および編者のヤヌシュ・シモニデス氏は、いずれも書物や論文を通して日本でもよく知られている国際人権法の第一人者である。ここに書かれている人権の国際的動向は、私が直接人権小委員会などで議論してきたことと軌を一にする内容である。この翻訳書を通して、人権に関心を持つ日本の読者が、世界的視野で問題にされている人権課題について、正確な情報を得ることができ、それを通して日本における人権の議論が、世界における人権の議論と重なり合い、より有機的に、人権に関する理解と研究が深まることを期待したい。

二〇〇四年二月二〇日 訳者一同を代表して 

内容説明

国連憲章(一九四五年)と世界人権宣言(一九四八年)が採択されて半世紀が経過した。この間、多くの人権文書を包摂する包括的な国際人権法体系が形成されてきた。この本書の主なねらいは、この国際人権法の概念的枠組みと採択された人権基準を分析し、かつ整理することにある。

目次

第1部 人権の概念(国際人権法の歴史的展開;人権の哲学的基礎)
第2部 市民的、政治的、経済的、社会的および文化的権利(市民的および政治的権利;経済的および社会的権利;文化的権利)
第3部 人権と社会的弱者およびその集団(女性の権利;子どもの権利;少数者に属する者の権利;世界の先住民族の保護と人権;移動労働者の権利)
第4部 国際人道法(国際人道法と人権)

著者等紹介

横田洋三[ヨコタヨウゾウ]
中央大学法学部教授。国連大学学長特別顧問。国連人権促進保護小委員会委員。ILO条約勧告適用専門家委員会委員。国際法律家委員会(ICJ)運営委員。元国際基督教大学および東京大学教授。元国連人権委員会ミャンマー担当特別報告者

秋月弘子[アキズキヒロコ]
亜細亜大学国際関係学部教授。国際基督教大学大学院行政学研究科博士後期課程修了(学術博士)。国連開発計画(UNDP)プログラム担当官、北九州市立大学外国語学部講師、助教授を経て現職。元北九州市同和対策審議会委員

滝沢美佐子[タキザワミサコ]
中部大学国際関係学部助教授。国際基督教大学大学院行政学研究科博士後期課程修了(学術博士)

富田麻理[トミタマリ]
西南学院大学法学部助教授。国際基督教大学大学院行政学研究科博士後期課程修了(学術博士)。1993年‐1995年、在ジュネーブ国際機関日本政府代表部専門調査員(人権・人道問題担当)

望月康恵[モチズキヤスエ]
北九州市立大学外国語学部助教授。国際基督教大学大学院行政学研究科博士後期課程修了(学術博士)。国連大学学術部門プログラム・アソシエート、北九州市立大学外国語学部講師を経て現職
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。

最近チェックした商品