出版社内容情報
2004年3月2日に判決が出る戸籍続柄裁判と、すでに最高裁判決がでている住民票続柄裁判の軌跡。弁護士・学者・ジャーナリスト・市民運動家など多くの見識者が寄稿。婚外子と女性への差別をなくすためには、どのような方策があるのかをわかりやすく解説。
男社会のアキレス腱を撃つ 上野千鶴子
婚外子と非婚の女性を差別しない社会を求めて 田中須美子
第1章 婚外子・女性への差別をなくすために
1 戸籍続柄と女性の人権 角田由紀子
2 フランスの家族と日本の今 浅野素女
第2章 戸籍続柄差別の撤廃をめざして
1 ついに始まった戸籍続柄裁判 福喜多 昇
◆ 訴 状
2 意見陳述
3 戸籍続柄裁判に寄せて 澤田省三
◆新聞報道記事1
◆戸籍続柄裁判提訴へのメッセージ
4 原告尋問
5 証人尋問
◆婚外子等に関する日本法上の主な規定(抜粋)
第3章 住民票続柄裁判・最高裁判決をうけて
1 最高裁判決の残したもの 榊原富士子
◆新聞報道記事2
◆住民票続柄裁判・最高裁判所判決
◆三つの判決の相違点
2 法律や制度から社会を変えよう 福島瑞穂
3 “負けて勝った”裁判 林 陽子
4 11年前に逆戻りの最高裁判決 田中須美子
――判決が出たことを後から知る理不尽さ
5 最高裁判決の逆風 福喜多 昇
6 原告尋問
◆住民票続柄裁判終結へのメッセージ
第4章 世界にむけて――国連人権機関に訴広めよう プライバシーを守る戸籍の取り方
――「省略された抄本」や「一部事項証明書」を取ろう
2 誰にでもできる差別記載を拒否した出生届の出し方
裁判と交流会の歩み
男社会のアキレス腱を撃つ
上野千鶴子
結婚の中でも、結婚の外でも子どもは生まれる。あたりまえの事実だ。
結婚している女でも、子どもの父は夫であることもあるし、夫でないこともある。女なら誰でも知っていて、だが男が最も怖れている、事実だ。
結婚とは、何より、子どもの帰属を決めるための制度だ。嫡出の原理とは、子どもの正しい生まれ方と正しくない生まれ方とを区別する。男に所属した女が産む子どもだけが、「正しい生まれ」とされ、男に所属しない女と子どもは、婚外子として差別される。
どんな生まれであれ、子どもにとっては、生まれたという事実だけがある。生まれ方によって、子どもの処遇や権利に違いがあるのはおかしい、と子どもの権利条約は主張してきた。
非婚であれ、事実婚であれ、離婚シングルであれ、この社会は、シングルマザーを心理的に追い詰め、社会的に差別し、労働市場から排除し、貧困に追いやってきた。シングルマザーとその子どもたちが経験してきたこの困難は、男に所属しない女と子どもに対するペナルティでなくて、なんだろうか。
それにしても、住民票続柄記載の差別的取り扱いの変更というささやかな要求から始まった
内容説明
女は、男に所属しなければ、子を産んではいけないのか?この闘いは、女の不服従を男社会につきつけた。それが男社会のアキレス腱だったことを示した功績は大きい。
目次
第1章 婚外子・女性への差別をなくすために
第2章 戸籍続柄差別の撤廃をめざして
第3章 住民票続柄裁判・最高裁判決をうけて
第4章 世界にむけて―国連人権機関に訴える
第5章 実践 平等への挑戦―夫婦別姓・「家」・「嫁」意識・家事育児
第6章 差別を拒否し、プライバシーは自分の手で守ろう!
裁判と交流会の歩み
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