出版社内容情報
友だち感覚なのに、情熱も続いている――そんな夫婦の仕事と家事、金銭管理、育児、セックスとは? そして結婚生活で得たもの、犠牲にしたものとは? 気鋭の社会学者によるインタビューから、新たな結婚のかたちを模索する夫婦たちの工夫と努力が浮かび上がる。
謝辞
日本語版への序文
第一章 平等という困難
第二章 友情の固い絆
第三章 セックスの民主主義における情熱
第四章 稼ぎ手の役割を取り除く
第五章 共同の育児
第六章 ピア・マリッジの未来
注
訳者あとがき
" 本書はぺッパー・シュワルツ著Peer Marriage: How Love Between Equals Really Works (New York: Free Press,1994)の全訳である。シュワルツ博士は、一九七四年にエール大学にて社会学の博士号(Ph. D)を取得した。現在、ワシントン大学社会学部教授である。シュワルツ博士の履歴に関心のある方は彼女のウェッブ・ページ(faculty.washington.edu/couples)が参考になることであろう。
訳者はアメリカ留学当時、大学の学部・大学院でのコースを通じて本書に出会った。本書は、学部では主に人間発達専攻の三年生を対象とした家族発達のコースでの副読本として、また、大学院ではフェミニズム、女性学、社会学のセミナー形式のコースでのリーディングの一部として使用されていた。授業以外でも、家族・夫婦研究を行なう研究者たちの間で、本書が話題とされることがしばしばあった。
アメリカ社会での結婚事情は日本と異なる。アメリカの離婚率は、一九八八年以来横這い状態が続いているとはいえ、国際的にみても高い(ちなみに、二〇〇〇年にはアメリカでは一〇〇〇人中四・一人であるのに対し、日本では二・一人、イギリスは二・六人)。ここ十数年来アメリカで起こっている‘save the marいトピックに関するセッション(たとえば、コミュニケーションのためのスキル訓練、セクシャリティの理解、中高年夫婦向けの関係維持のためのヒントなど)に参加していた。
このような文化的社会的背景の違いをもつアメリカの夫婦に関する本書を、訳者らがあえて日本語に翻訳してみたいと考えた理由は主に四つあった。第一に、本書の中で夫婦たちが対等な関係を築き上げてゆくプロセスについてのシュワルツ博士のいくつかの考察・指摘が、これからの日本の結婚を理解する上で役立つのではないかと考えたからである。具体的には、まず、対等な二人の関係をフレンドシップという概念を用いて捉え直すことで、結婚に見られる夫と妻との間の勢力関係や上下関係を明らかにしている。夫婦における勢力関係の分析に、同性愛者のカップルやサドマゾヒズムにおける勢力関係を引き合いに出している点も非常にユニークである。同様にユニークな点は、共同的で対等な関係の維持のために、夫婦が社会的、とりわけ仕事での成功をもときに犠牲にすることが必要である、という発想を強調している点である。昨今、わが国でも「友だち感覚」の結婚生活を送るカップルの数に増加の兆しが見える。しかし、概してこうした諸概念、「仕事よりも夫婦関係」という発想の必要性などに関する日米間の相違も含めて、今後の日本における「ピア・カップル」に関する研究がまたれる。(後略)
訳者あとがき"
目次
第1章 平等という困難
第2章 友情の固い絆
第3章 セックスの民主主義における情熱
第4章 稼ぎ手の役割を取り除く
第5章 共同の育児
第6章 ピア・マリッジの未来
著者等紹介
シュワルツ,ペッパー[シュワルツ,ペッパー][Schwartz,Pepper]
ワシントン大学社会学部教授。性研究国際アカデミー・フェロー。1992年から93年まで性科学会会長を務める
豊川輝[トヨカワテル]
東京生まれ。早稲田大学文学研究科後期博士課程中退。ペンシルヴァニア州立大学大学院人間発達・家族研究博士号(Ph.D.)取得。現在パシフィック・ルーセラン大学心理学部助教授。専門は発達心理学、異文化心理学
けい悦子[ケイエツコ]
東京生まれ。翻訳学校にて映像翻訳・フィクション翻訳を学び、現在は生化学・医学・薬学を中心に幅広い分野でフリーの実務翻訳者として活動
豊川典子[トヨカワノリコ]
東京生まれ。津田塾大学・東京外国語大学卒業後、ペンシルヴァニア州立大学にて健康教育および女性学で修士号取得
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
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