出版社内容情報
自ら癒す力の衰えた現代人。その問題点をナイチンゲールの看護論、西勝造の医学論をもとに検討。人間や動植物の形態の進化を踏まえ、現代の看護・医療のさまざまな矛盾点・問題点をみる。現代日本人の食生活の偏りから、心身両面の「健康」のあり方を考える。
第一章 ナイチンゲール看護論と現代
――文明批判の学としての西医学との共通性
一 看護学と医学
1〈生命力〉と〈生活〉への着眼
二 ナイチンゲール看護論と現代社会
1「健康の法則」と「文明」社会
三 西勝造の医学論
1「生命の歴史」性
2「空気」「熱」
3「食」
4〈卑小〉性としての〈排泄〉の力
5「病気観」
6 科学的医学構築の先駆者
四「看護の専門性」考
1 生活性・日常性
第二章 科学的食理論の射程
――〈離乳〉の意味と近代食養運動の再評価
一 哺乳類と母乳
1 哺乳類
2 人類史における農耕・牧畜
3 「乳糖不耐症」をめぐる諸問題
二 瀬江千史批判
1 離乳の意味
三 香川綾批判
1 香川栄養学の限界
2 戦後の米食批判と社会変化
第三章 空腹と歯牙の意味論
――飢餓の生命史の視座から
一 空腹
1 空腹/満腹と血糖値調節機構
2 空腹の胃学(モチリン)
3 空腹と排泄
4 〈ニワトリを殺して食べる授業〉と〈断食〉
二 歯牙・歯式
1 ヒトにおける歯牙退化
2 日本列島における歯牙退化<と運ばれる暮らし
三 病院化社会
1 癒すちから、癒えるちからの衰退
四 イリイチ思想と脱医療化運動
1 生活と病気
2 イリイチ思想と脱医療化運動
五 社会変革と自己変革
1 「医療サービスの消費者」を超えて
2 臨床教育学へ
目次
第1章 ナイチンゲール看護論と現代―文明批判の学としての西医学との共通性(看護学と医学;ナイチンゲール看護論と現代社会 ほか)
第2章 科学的食理論の射程―「離乳」の意味と近代食養運動の再評価(哺乳類と母乳;瀬江千史批判 ほか)
第3章 空腹と歯牙の意味論―飢餓の生命史の視座から(空腹;歯牙・歯式)
第4章 ハリス・諭吉・ベルツ―幕末維新期の牛乳/牛肉と日本文化(ハリスと牛乳;福沢諭吉と牛乳・牛肉 ほか)
第5章 イリイチの『脱病院化社会』をどう読むか―ロマン主義的自律論から「もうひとつの臨床教育学」への架橋(学校化社会;加速化社会 ほか)
著者等紹介
森本芳生[モリモトヨシオ]
1957年兵庫県生まれ。岡山大学理学部物理学科(磁性物理学専攻)卒業。同研究生、その他ののち神戸大学大学院教育学研究科教育計画論講座(修士課程)修了。専攻は教育学。日本綜合医学会会員
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