出版社内容情報
現職警察官による覚せい剤事件を組織ぐるみでもみ消し、隠蔽した神奈川県警の犯罪を、検察の取り調べが徹底的に暴いた。警察による不正を監視する市民団体が情報公開によって入手した検察調書の全文を収録し、警察の組織をあげての犯罪を克明に記録する。
まえがき
第1部 解説編
はじめに
第1章 ここまでやるか罪証隠滅
酒寄出頭(渡邉本部長以前)
本部長、隠蔽の方針を指示
関係者への接触および口封じ――罪証隠滅その1
証拠物の隠匿工作――罪証隠滅その2
マスコミ対策
酒寄に依願退職を迫る
酒寄を軟禁して事情聴取
連日の採尿・鑑定――罪証隠滅その3
隠蔽の方針確定、書類の捏造始まる
尿が陰性に変わるまで
薬対課の取調への対策
第2章 供述調書の記載から見えてくる県警の問題体質
渡邉本部長の弁解
他の被告人それぞれの思惑
人事を握られている者の苦悩
揉み消しを肯定する体質
県警のセクト体質
横浜地検との関係
不謹慎な警察官
おわりに
第2部 記録編
判決書
弁 論
調 書
監察実施結果
我々「警察見張番」は、平成12年(2000年)7月、神奈川県警のうち続く不祥事に怒り、憂慮した市民が集まって結成された市民団体です。その成果の一つを本の形として送り出します。
「警察見張番」は、連続する警察不祥事の根っこに、警察組織の問題があると考えています。
神奈川県警は、平成8年12月、警察官の覚せい剤取締法違反被疑事件の隠蔽を謀りました。本部長の指示による組織的なもみ消し事件でありました。
事件の内容は、本部長を筆頭とする県警幹部警察官らを被告人とする刑事訴訟確定記録により、ほぼその全貌を知ることができました。何人もの「警察見張番」のスタッフが、手分けして記録を閲覧し、メモをとりました。会員の鈴木健が、このメモを再構成し、原記録に当たって誤りなきを期するなどの面倒な作業を担当しました。
記録をみると、県警本部のトップである本部長とこれに続く警務部長以下の警察官との間のはなはだしい力関係の開きに驚かされます。この大きな格差は、警察の任務を遂行するのに本当に必要なのでしょうか。この格差は、法律により予定されているのでしょうか、それとも単にインフォーマルな慣行として生じているものなのでしょうか。
目次
第1部 解説編(ここまでやるか罪証隠滅;供述調書の記載から見えてくる県警の問題体質)
第2部 記録編(判決書;弁論;調書;監察実施結果)