出版社内容情報
経済活動、社会組織や人脈など、互いに強固なネットワークを築きビジネスを展開しているかのように見える世界に散在する華僑・華人。しかし、一定の機能や構造をもたない可変的な人的つながりである華商ネットワークの実態を膨大な現地調査をもとに論究する。
1 華僑・華人及び華商研究の視座
華人アイデンティティ研究の現段階
華商ネットワーク研究の現段階
虹のメタファー/ほか
2 華商のネットワークとアイデンティティの歴史的変遷
海外移住の歴史と原因
東南アジア華商をめぐる国際環境/ほか
3 ディアスポラとグローバリゼーション
脱国家的な視点
華僑・華人とディアスポラ
ディアスポラをめぐる国際環境/ほか
4 華商の価値観とビジネスの特徴
儒教文明と華商の経済活動
華商に内在した倫理と合理性
グローバリゼーションにおける儒教倫理の役割/ほか
5 ケース・スタディーに見る華商の現実
ミクロレベル
マクロレベル
時間と空間を超えるネットワーク
6 華商ネットワークの脆弱性
外的な要因
内的な要因
終章 華商ネットワークの役割と限界
虹の架け橋か,潜在的な部外者か
華商ネットワークを見る目
結論
内容説明
移民や混血、マイノリティーなど、1つの国家、1つの文化のみを基盤としていない人々は、どのようなアイデンティティを持っているのだろうか。そして、彼らは社会のなかでどのような特徴を持った活動や生き方をしているのだろうか。そんな立場にある人たちは国際社会において、いかなる可能性と限界を持っているのだろうか。本書は華僑・華人を1つのケースとして注目し、彼らのネットワークとアイデンティティに焦点をあてることで、以上の問題を解明することを試みた。
目次
序章 華商をめぐる世界
第1章 華僑・華人及び華商研究の視座
第2章 華商のネットワークとアイデンティティの歴史的変遷
第3章 ディアスポラとグローバリゼーション
第4章 華商の価値観とビジネスの特徴
第5章 ケース・スタディーに見る華商の現実
第6章 華商ネットワークの脆弱性
終章 華商ネットワークの役割と限界
著者等紹介
陳天璽[チンテンジ]
1971年、横浜に生まれ、横浜中華街在住。2000年、筑波大学大学院、国際政治経済学研究科修了。国際政治経済学博士。1994年より一年間、香港中文大学に留学。1997年より2000年まで、ハーバード大学フェアバンクセンター・同大学法学部東アジア法律研究所、客員研究員。現在、日本学術振興会・東京大学総合文化研究科、特別研究員、杏林大学非常勤講師。華僑・華人問題をはじめ、移民・マイノリティー問題、国境・国籍問題に取り組む
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