出版社内容情報
本書は,ソビエト連邦という,脱エトノスという名目の,巨大なロシア化装置が崩壊することによって,「隠された民族」が「立ちあがる民族」に転化していくこの劇的な過程,人類史の忘れがたい時代を,思想史の展望を背景にしながら実践的にとらえた,われわれの世紀のモニュメンタルな記録である。この経験はまだ完結しておらず,いまなおロシアの各地で進行中であるだけに,本書は,現代ロシアを知るための必読の書でもある。
第一章 ナショナリズムとソビエト崩壊
第二章 支配する者とされる者,または不平等の経済学
第三章 ウクライナ―鍵をにぎる民族
第四章 バルト諸国―独立の先兵たち
第五章 紛争に揺れるカフカス地方
第六章 中央アジア―ムスリム的要素とチュルク圏
第七章 ロシア人―民主主義をとるか,帝国をとるか
第八章 新しい諸国家―展望と政策
内容説明
本書は、ソ連邦を滅亡に追いやり、さらには東欧と中央アジアに一五の新しい共和国を誕生させたさまざまな分離独立運動と、それによってソビエトがどのように崩壊していったかを論じている。
目次
第1章 ナショナリズムとソビエト崩壊
第2章 支配する者とされる者、または不平等の経済学
第3章 ウクライナ―鍵をにぎる民族
第4章 バルト諸国―独立の先兵たち
第5章 紛争に揺れるカフカス地方
第6章 中央アジア―ムスリム的要素とチュルク圏
第7章 ロシア人―民主主義をとるか、帝国をとるか
第8章 新しい諸国家―展望と政策
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
印度 洋一郎
3
ソ連崩壊前後の、ソ連を構成していた色々な民族の動向を取材、分析した本。諸民族としてはバルト三国、カフカス三国、中央アジア諸国、そしてロシアに分かれる。ロシア以外の民族はおしなべてロシア人による支配を嫌い、恨み、ペレストロイカ以降は特に自治、そして独立へと向かって動き出す。しかし、それぞれの民族の歴史的経験値の違いで比較的円滑にいった模範例はやはりヨーロッパ圏に属し、近代に独立した歴史もあるバルト三国。それに比べ、歴史的経験値の少ないカフカスや中央アジアは独立が独裁や紛争に繋がっている。2024/04/13