出版社内容情報
江戸時代に日本を訪れた12度の朝鮮通信使は日本の朝野に大きな足跡を残しました。幕府はその権威が海外にまで及んでいることを誇示しようとし,各藩の大名は幕命に従って丁重に朝鮮使節一行を迎えました。学者・文人は争って筆談や詩文の応唱を求め,民衆にもはかりしれない影響を残しました。今,日本の近世はこの善隣外交史の視点から改めて書換えを求められているといっても過言ではありません。本書は近代に先立つ日朝関係史を重要文化財を含む第一級の絵図や絵画,および通信使の使節が記録した使行録の原文を年次毎に収録した画期的な資料集です。さらに各巻ごとにその時代背景や日朝の文人たちの交流の実相を解説し,初学者にもわかりやすく編集しました。日本と日本人の国際化の原点を改めて問いなおし,東アジアの未来を考える基本文献として座右に備えるべき必携の図書であります。図書館,研究室,書斎にぜひご常備ください。
[推薦]
上田 正昭(京都大学名誉教授)
田中 健夫(東京大学名誉教授)
奈良本辰也(歴史学者)
朴 永 錫(大韓民國國史編纂委員会)
絵図 ☆槎路勝区図画集(二帖三十図)[韓国国立中央博物館蔵]/朝鮮人来朝覚備前御馳走船行烈[四宮富子氏蔵]/信使来聘自兵庫至大坂引船図[桜井神社蔵]/李聖麟筆・山水図[個人蔵]/崔北筆・山水図[個人蔵]ほか
使行録 ☆曹蘭谷「奉使日本時聞見録」,[ソウル大学校奎章閣文庫蔵],☆洪景海「随槎日録」[ソウル大学校奎章閣文庫蔵]
特別解説 吉田宏志「来日画員,李聖麟の絵画」
目次
図版
遺墨
朝鮮通信使と肉食文化
延享度通信使の事跡と話題
来日画員、李聖麟の絵画
延享度の文化交流と筆談唱和・遺墨資料について〔ほか〕