出版社内容情報
国民皆学を骨子とするわが国の近代教育制度は,明治5年(1872)頒布の「学制」に始まる。以来昭和期にいたるおよそ70年間にわたり,夜間に授業を行う夜間小学校(夜学校)が都市および工場内に開設されていたのである。本書は,都市東京における労働児童の実態に着目しながら,夜間小学校(夜学校)の近代教育発展過程への位置づけを試みたもので,貧困に立ち向かう児童,夜学校教師の苦悩に思いをいたした,これまでつづられることのなかった「夜間小学校誌」(学校史)である。
一 働く児童と夜学校
二 明治前期の公立夜学
三 下層社会の児童と私立学校
四 子守教育所の開設
五 年少労働問題と工場法
六 特殊尋常小学校と特殊夜学校
七 尋常夜学校の教育と児童
八 働く児童の生活と意見
九 昭和前期の夜学校と児童