内容説明
本書は役者が演ずる人物になり切るとはどういうことなのか、また、どうすればなり切ることができるかを論じている。バーカーはここでシェイクスピア劇を上演するに当って演出家や役者達が心すべき最も重要なことを教えている。
目次
序論
ハムレット(シェイクスピア劇の本質;劇のアクションの性質;第1楽章;第2楽章;第3楽章;第1・4折本に関する覚書;登場人物)
感想・レビュー
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viola
5
非常に有名なシェイクスピア研究者の執筆した専門書で、恐らくこれが唯一の翻訳。1920年代に出版されたものなのであまり目新しさはないけれど、著者は役者でもあるので視点が一般人とは違います。どうしても机上の学問になりがちな文学という世界では貴重な存在。役者としても非常に才能豊かであったらしく、バーナード・ショーも評価していたのだとか。ハムレット論よりも、面白いのは断然ガートルード論。ガートルードは先王の死後前から不倫関係にあるという論を展開し、演劇という観点から彼女の年齢を探るのが圧巻。2012/12/29