出版社内容情報
古来、中国の歴史は「物語」により表現されてきた。その伝統は、周代の金文に始まり、以降「物語」は、諸子百家による啓蒙活動に用いられ、前漢になり儒教が国教の地位を得ると、その経典の解釈書に採り入れられていく。続く後漢において「古典中国」(後世の中国が規範とした中国の原型)が成立すると、訓詁学の隆盛を背景に『春秋左氏伝』が「物語」と歴史との接点を回復し、「史伝」へと発展。やがて『史記』を起源とする紀伝体にくわえ、『漢書』のように国ごとに歴史を描く断代史の体裁が定められ、国家が自らの正統性を担保するための「正史」という形で結実する――本書では、「物語から史書へ」と至る以上の経緯を、『尚書』『尚書大伝』『詩経』『韓詩外伝』『論語』『墨子』『孟子』『荀子』『荘子』『韓非子』『春秋公羊伝』『春秋穀梁伝』『春秋左氏伝』『国語』『史記』『漢書』『三国志』といった数多くの古典から引用しつつ、古代中国において思想と国家が「物語」によって正統化されていく実相とともに、ひもといていく。
内容説明
物語と国家、その“蜜月”をひもとく。古来、物語により「歴史」を表現してきた中国。その伝統の中で、国家の「思想」は、いかにして「史実」となったのか?
目次
第一章 聖王たちの表現
第二章 覇者たちの時代
第三章 孔子伝説の展開
第四章 物語による経書解釈
第五章 『春秋』を書き継ぐ
第六章 儒教と史学
著者等紹介
渡邉義浩[ワタナベヨシヒロ]
早稲田大学常任理事・文学学術院教授。東京都出身。文学博士。専攻は「古典中国」学(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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