出版社内容情報
歌合は和歌行事として平安時代の貴族社会で始まり、遊戯的要素が強かったものが様式の変化に伴い、次第に文芸性が高まっていった。新たな展開を見せたのは『古今和歌集』の成立後ほどない村上朝期(946~967年)。この勅撰和歌集の残像のなか、歌合の表現は醸成されていった。これらの発展には何が寄与したのか。女集団たる後宮と、男集団たる内裏・臣下の歌合の様相にこそ鍵がある。村上朝前後で和歌表現はどのように展開していくのか。それぞれの歌合の性質に寄り添い、歌合史の視点から文学的な躍動の始まりを村上朝期に見出す新たな表現論。
内容説明
和歌パフォーマンスとしての歌合が新たな展開をみせる村上朝期。遊戯であったものが、出来栄えを問い競う文芸となっていった。後宮がどのように関わっていったのかを、和歌とともになぞる。
目次
第1部 後宮と歌合の関係(京極御息所歌合における後宮の企図;麗景殿女御歌合の結番方法;主催の意図と表現―女四宮歌合について;表現から見る寓話の意図―皇太后詮子瞿麦合の寓意について)
第2部 村上朝を俯瞰して(村上天皇名所絵屏風歌の詠風;村上朝後宮歌合の役割;『拾遺集』の中の歌合)
第3部 内裏および臣下の歌合(坊城右大臣殿歌合表現の影響;康保三年内裏前栽合における後宴歌会;歌合献詠歌の賀意について―寛和二年内裏歌合)
著者等紹介
田原加奈子[タバルカナコ]
1987(昭和62)年生まれ。2020年早稲田大学大学院文学研究科修了。博士(文学)。現在、玉川大学・明治大学・亜細亜大学非常勤講師(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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