出版社内容情報
本書では、群馬県と埼玉県の横穴式石室を対象に、古墳の階層性を成立させた築造技術体系と造墓集団に迫る。横穴式石室は、複雑な工程と多様な技術が駆使された土木建造物であり、およそ6世紀から7世紀にかけて、各地で膨大な数が築かれた。横穴式石室の築造技術を分析することで、造墓集団の地域展開を明らかにする。また、分析にあたり実施した横穴式石室の調査では、文化財への利用が促進されている三次元計測やSfM/MVS(Structure from Motion/ Multi-Video Stereo)を活用し、定性的分析や定量的分析を実践することで、個別の成果に加えて、3D技術を用いた調査・研究方法の利点や課題を示す。
内容説明
三次元計測とSfM/MVSという新たな調査方法による試み。日本列島で数多く造られた古墳の主たる埋葬施設である横穴式石室。最新の記録技術を活用して、横穴式石室の築造に使われた技術を体系的に明らかにし、造墓集団を深掘りしていく。
目次
序章 古墳時代の土木技術研究と本書の位置づけ
第1章 横穴式石室の研究視点と方法
第2章 横穴式石室の分布と編年
第3章 横穴式石室の構造―三次元記録による定性的分析
第4章 横穴式石室の企画と使用尺度―三次元記録による定量的分析
第5章 横穴式石室の基礎構造と裏込構造
第6章 横穴式石室の石材獲得技術と加工技法
第7章 古墳築造技術の復元
第8章 古墳時代後・終末期における古墳の造墓集団と地域社会
第9章 古墳の階層性と古墳築造体制
終章 古墳の造墓集団と古墳時代の土木技術史的評価
著者等紹介
青木弘[アオキヒロシ]
1985年神奈川県生まれ。2019年博士(文学)早稲田大学。専門分野:古墳時代(横穴式石室、古墳築造技術など)、文化財の三次元記録・分析(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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