出版社内容情報
2000年代後半の世界的な金融危機に日銀幹部職員として対応した著者が、国際的な銀行規制見直しの「バーゼルⅢ」策定議論を通じ、世界のグローバル化とG20に代表されるグローバル・ガバナンスを大胆に検証する。グローバル化、主権国家、民主主義の三つを同時に達成することは不可能だという「グローバリゼーションの三重苦」を背景に、グローバル化はグローバル・ガバナンスの正当性向上への要求を高めると結論付ける。特筆されるのは、グローバル金融危機と新型コロナ危機の比較・考察。世界的拡大、経済への深刻な影響、国家が果たすべき役割の再認識、未然防止の失敗などが共通すると指摘する一方、相違点はG20サミットのリーダーシップが発揮されない点を挙げる。金融危機の再発防止措置に倣い、コロナ危機に対しても「グローバルな枠組みによるルール策定が必須」と提言する。
目次
第1章 グローバリゼーションとグローバル・ガバナンス
第2章 グローバル・ガバナンスにおける正当性についての考察
第3章 命題提示:グローバリゼーションの進展と正当性向上
第4章 金融危機の実相
第5章 グローバル・ガバナンスの新体制
第6章 命題の検証1:正当性向上
第7章 命題の検証2:リーダーシップの重要性
第8章 リーマン・ショック10年後の世界を考える
著者等紹介
岩崎淳[イワサキジュン]
1963年、大分県生まれ。1987年早稲田大学政治経済学部政治学科を卒業、日本銀行に入行。英国外務省奨学金を受け日本銀行より英ケンブリッジ大学に留学、修士(M.Phil.in International Relations)を取得。日本銀行にてワシントン事務所長、外国為替平衡操作担当総括、金融機構局国際課長、大分支店長、横浜支店長、国際局参事役を歴任。2017年日本銀行退職、国際通貨基金(IMF)タイ技術支援事務所にてミャンマー、カンボジアなどの中央銀行に対して金融・外為オペレーションの技術支援を行うアドバイザーに就任(2020年まで)。2018年に本書のもととなった論文により早稲田大学アジア太平洋研究科より博士(学術)を取得。日本銀行大分支店長在任中に大分大学、立命館アジア太平洋大学にて非常勤講師(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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