内容説明
近・現代の名詩を分析し、詩の文芸としての美の本質・構造、詩の持つ多様な美について明快に語る。詩の絵解きに終始していた従来の詩論、小・中学校、高校の詩の「読解鑑賞指導」の限界を明らかにし、誰もがゆたかな深い読みを体験することができる詩の読み方を提示。宮沢賢治「烏百態」「永訣の朝」に関する詩論、「西郷文芸学の基礎的な原理―主として『話者の話体と作者の文体』について―」を増補。
目次
現実をふまえ、現実をこえる世界―佐藤春夫「海の若者」
矛盾するイメージの二重性―井伏鱒二「つくだ煮の小魚」
美の典型をとらえる―村野四郎「鹿」
一瞬にして永遠なる世界―三好達治「大阿蘇」
イメージの筋が生みだすもの―小野十三郎「山頂から」
現実と非現実のあわいの世界―中原中也「一つのメルヘン」
象徴化されていくプロセス―萩原朔太郎「およぐひと」
日常性に非日常性を見る―長谷川龍生「理髪店にて」
心平詩の“つづけよみ”―草野心平「天」「作品第拾捌」「海」
否定態の表現―中野重治「浪」〔ほか〕
著者等紹介
西郷竹彦[サイゴウタケヒコ]
1920年、鹿児島生。文芸学・文芸教育専攻。元鹿児島短期大学教授。文芸教育研究協議会会長。総合人間学会理事(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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