内容説明
南北朝隋唐から北宋にかけての仏教思想の根幹にかかわる五十の漢語を取り上げ、漢語における伝統的語義解釈(仏教伝来前から存在した儒教経典と道家文献、字書に示される解釈)と、インドの原典(サンスクリット語文献)におけるその語の意味と用例とを対比させ、中国・インド双方から二重の意味を付与された漢字仏教語の価値を究明する。漢語をベースとした仏典解釈は、インド本来の何を継承し、中国独自にどう展開したのか。語源探しや起源探しと袂を分かち、漢語文化圏における仏教受容史を解き明かす。本書は、仏教文化の接触変化の歴史を言語的・文化的特性に即して解明する新たな仏教漢語資料として世に問うものである。
目次
序論 インド伝来の仏教を漢字で思考し言い表す
第1章 一字でも解釈は様々―原義と音通
第2章 仏典漢訳から生まれた新漢字
第3章 仏典が作り出した熟語
第4章 漢字の妙味―熟語の分解と再統合
第5章 インドの解釈を引き継ぐ漢字音写語
第6章 梵漢双挙―原語音写と漢訳の併記
第7章 インド文化からの逸脱と誤解
第8章 仏教漢語の特徴
付録
著者等紹介
船山徹[フナヤマトオル]
1961年栃木県生まれ。京都大学大学院文学研究科博士後期課程中退。京都大学人文科学研究所教授。プリンストン大学、ハーヴァード大学、ライデン大学、スタンフォード大学等において客員教授を歴任。専門は仏教学(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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