内容説明
歴史を語るには、もはや気候変動を無視できない―気候復元と年代決定の最新の達成状況を明らかにする。
目次
はじめに 日本の気候の特徴と古気候復元の課題
第1部 高時間分解能古気候復元の進展(世界と日本における古気候復元研究の状況;降水量―樹木年輪酸素同位体比(セルロース酸素同位対比を用いた夏季降水量の復元)
気温―樹木年輪幅・密度(年輪内最大密度を用いた富山における夏期気温の復元)
降水・気温―古日記(歴史天候記録に基づく気温・降水・日射量・台風の復元)
水温・気温―堆積物(日本人と日本社会が経験した気温変動)
水温・塩分―サンゴ(造礁サンゴ骨格年輪を用いた過去の海洋環境の復元)
気象災害―古文書(中性文献史料を利用した気候変動の復元)
データ同化技術による古気候データと地球システムモデルとの統合)
第2部 新しい年代論の構築(酸素同位体比年輪年代法の開発;酸素同位体比クロノロジーの時空間的拡大と応用;炭素14年代法による高精度年代測定)
著者等紹介
中塚武[ナカツカタケシ]
名古屋大学大学院教授。古気候学・同位体地球化学
對馬あかね[ツシマアカネ]
千葉大学大学院理学研究院特任研究員。雪氷学・古気候学
佐野雅規[サノマサキ]
早稲田大学人間科学学術院講師。古気候学・年輪年代学(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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月をみるもの
14
いや、もうこのシリーズマジすごいっすよ。平城宮造営当時の水路遺構から出土した樹皮つき(〜伐採年代確定)の木材の年代が、年輪の酸素同位体変動パターンから 709 年と同定されたと聞いて、「そうか、文献に書いてある年代って本当なんだ、、、」と初めて実感。奈良盆地南西部にある中西遺跡では、洪水の土砂で埋められた立木の分析から、この洪水が紀元前379年(!)に起こったことが明らかになる。その上、気候(おもに降水量)変動の推定までできるとか、まじ「歴史が書き換わる」よ。2021/05/01
あけの
3
昔の気候を知るためにつかう資料や手法などもうわけわからん(笑) が学問は掘り下げれば掘り下げるほど理系も文系もないのだなと 2021/06/19
A.Sakurai
2
『気候変動と「日本人」20万年史』の参考文献で本シリーズが挙げられており、前掲書では詳しく触れられていなかった年代決定手法について知りたくなって手に取った。最近になって日本で発達した酸素同位体比年輪年代法がメインで解説されている。昔から年輪幅を用いた方法はあったが、素人目にも地域差や植物種の差が気になっていた。実際にかなりの地域差や個体差があり、制限が多いのだという。新しい方法でも差は大きく較正の手段が綿密に構築されている。炭素14ピークによる年代決定は、こんな方法が見つかったのかと驚いた。2022/10/25
Go Extreme
2
日本の気候の特徴と古気候復元の課題 高時間分解能古気候復元の進展:世界と日本における古気候復元研究の状況 降水量ー樹木年齢酸素同位対比ーセルロース酵素を同位対比を用いた夏季降水量の復元 気候ー樹木年齢幅・密度ー年輪内最大密度を用いた藤における夏期気温の復元 降水・気温ー振る日記ー敵視天候記録に基づく気温・降水・日射量・台風の復元 水温・気温-堆積物 水温・塩分ーサンゴ 気象災害ー古文書 データ同化技術による古気候データと地球システムモデルとの統合 新しい年代論の構築:酵素同位体比年代法の解発 2021/02/28
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