内容説明
近現代のポピュラーカルチャーにみられる、日本人のセクシュアリティとは?本書では、セクシュアルでエロティックな、生人形・海女写真・変態する女・宝塚男役・ゴスロリ・BDSMをモティーフに、私たちがセクシュアリティの表象・身体にどのようなまなざしを注いできたか、西欧近代のインパクトのもと、私たちの身体観・セクシュアリティ観が、視覚文化のなかでどのように生成されてきたのかを、シリアスかつ艶やかに探究する。
目次
第1章 生人形とセクシュアリティの変容―「色」の展開とその受容
第2章 変態するナオミ―モダンガールの身体とセクシュアリティ
第3章 誰がために海女は濡れる―日本海女写真史略
第4章 “誤認”する男―宝塚歌劇『琥珀色の雨にぬれて』とホモソーシャルな三角形の中の女性
第5章 ゴスロリはセクシュアルなまなざしとどう戦うか
第6章 海外BDSM界における“日本”イメージ―快楽の活用とジェンダー
著者等紹介
川村邦光[カワムラクニミツ]
1950年生まれ。東北大学大学院文学研究科博士課程満期退学。現在、大阪大学大学院文学研究科日本学・教授。専攻は宗教学・近代文化史(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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gtn
12
菊地暁「誰がために海女は濡れる」の一文。褌一本で海底を遊泳する海女も今は絶滅した。その姿を撮影することに間に合った写真家中村由信の「民族学的探求心が涌いたわけではさらさらなく、単に海中で裸の女性を眺めたかっただけ」との言葉を引用し、海女への興味にもっともな理屈をつける輩を笑う。その上で「合法的周辺ポルノ」という概念を持ち出す著者。混浴といい、公衆の面前で乳をやる母といい、日本にはかつて「見てもいい」エロティシズムが遍在していた。猥褻という発想はそこにはない。考えてみれば高度な文化である。2020/01/21
ひろゆき
2
セクシュアリティなものを見つめる目の変貌。「生人形」裸などありふれた江戸期に、なぜ実物に近い人形を造り、人は凝視したか。「変態するナオミ」谷崎潤一郎、『痴人の愛』洋装する女の美の登場と賞賛、なるほどなるほど。「海女」美人すぎる海女ブームはいま起きたことでなく、昔から追い求めた写真家たち。白黒写真数点、たしかに美しいと目覚める私(笑)。他、ゴスロリ、宝塚、BDSMなど。2012/12/11
E
0
眼差しは一方方向では終わらない2019/11/04
しえろ
0
あまり深くない論が多い印象だけど、各テーマの入口にはいいかも。生人形の迫真さとその興行に驚いた。2018/09/08