内容説明
「守銭奴」「タルチュフ」など数々の名作を生み、古典喜劇を大成したモリエールの全作品を新たに翻訳、製作・発表年代順に収録する。各巻に各国の研究者による論文や評伝、資料、年表を付して刊行する決定版全集。
目次
作品(スカパンの悪だくみ;エスカルバニャス伯爵夫人;美しいメロディーにのせた題韻詩;学者きどりの女たち;病は気から)
研究論文(理屈っぽい人、モリエール劇の筋書きを紡ぎ出す人物;モリエール時代の舞台音楽)
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ろべると
6
図書館で全集を見つけ、とりあえず有名作を含む本巻を借りたが、なかなか面白い。「スカパンの悪だくみ」はコメディ・デラルテのようでやや類型的に感じたが、「学者きどりの女たち」ではエセ教養主義にかぶれる女性たちと学者を、「病は気から」ではどこも悪いところがないのに医者にかぶれる男と医者を風刺する。機転の効く小間使いも堂々と主人と渡り合う。ルイ14世は喜んで芝居を見たのだろう。医者かぶれの主役を演じたモリエールは、上演後に容体が急変して亡くなったそうだ。他の巻も読んでみよう。訳文がこなれていて読みやすいのも良い。2022/05/07
nightowl
1
手練手管に長けた召使が起こす騒動「スカパンの悪だくみ」都会かぶれの可笑しさ「エスカルバニャス伯爵夫人」歌詞の穴埋めクイズのような「美しいメロディーにのせた題韻詩」似非学者に騙される「学者きどりの女たち」医者や後妻の言うことを鵜呑みにする愚かな主人「病いは気から」「病い~」で医者を妄信する主人役はモリエール自身が演じ、自分(モリエール)を皮肉る台詞まである。おまけに病を押して出演し終演直後に亡くなるというエピソードに度肝を抜かれる。マンネリを感じさせない工夫がある外れ無しの巻。当時の舞台音楽解説も興味深い。2020/12/20