内容説明
世間体を重んじる父に勘当されたフランクは借金を重ねて獄中の人となり、出所後は絵筆で怪しい生計を立てる。そして一目惚れの甘美な初恋はまたまた人生の裏街道へと彼を導いていく。(『ならず者の一生』)名うての悪女ナローナ伯爵夫人は財産目当てでウェストウィック卿と再婚するが、卿のかつての婚約者アグネスを一目見た彼女は自分がこの無邪気な女性によって裁きを受ける運命にあるという妄想に取り憑かれる。(『幽霊ホテル』)ユーモラスで軽快なピカレスクロマン、ヴェネツィアのホテルを舞台にした幽霊譚の二編を収録。
著者等紹介
甲斐清高[カイキヨタカ]
1970年京都に生まれる。京都大学大学院文学研究科博士後期課程単位取得退学。現在大谷大学特別研修員。専攻、19世紀イギリス文学
板倉厳一郎[イタクラゲンイチロウ]
1971年京都市に生まれる。京都大学大学院文学研究科修士課程修了。英国イースト・アングリア大学MA取得。京都大学大学院文学研究科博士後期課程単位取得退学。現在京都大学研修員。専攻、現代イギリス小説、批評理論
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感想・レビュー
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ホームズ
19
「ならず者の一生」の階級や家柄というものが理解しにくいかな~。後半の展開が面白かったですね(笑)「幽霊ホテル」の方は好みでした(笑)裏切られた婚約者、怪しい結婚と花嫁の兄、消えた旅行従者など良い展開でした(笑)結末が少し物足りない感じがしてしまったけど全体的に楽しめた(笑)こういう雰囲気の作品は好きだな~(笑)2012/11/20
きりぱい
4
「ならず者の一生」は後半の展開が好み。家柄はいいのに金はない家に生まれつき、まっとうでない人生を歩んできた主人公。見染めた女性の父親が密かに行う化学実験の真相とは?「幽霊ホテル」の方は、こういうコリンズを待っていた!これぞ!という展開。絶対何事かが起こっているはずなのに、それが見えてこなくて、じれったさに先を読まずにはいられなくなる。ゴシックな雰囲気に地下室の化学実験(またか!)、悪人もなかなか断定できない中、変わった方法で明かされるとんでもない犯罪の告白。ああ、結構怖かったのに、最後がちょっと弱い。2010/06/03
エリコ
1
好みだったのは『幽霊ホテル』。2013/12/23