感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ロビン
20
19世紀後半に生を享け、二度の世界大戦を含む多難な時代を生きて1956年に死去したドイツの開業医、小説家、詩人のハンス・カロッサの詩集。ゲーテを尊敬し多大な影響を受けた。詩は星や蝶など自然や愛を歌った繊細なもので、主観的に対象を捉えてそこに精神を溶け合わせている。本書収録の韻文劇「老いた魔術師」では、作中老魔術師によって内面の病を癒される「世界改革団」の若者(ヒトラー・ユーゲントがモデル)が登場し、ナチス政権下において戦争終結直前には死刑判決さえ受けたというカロッサが、世を深く憂いていたことを示している。2020/08/28
-
- 和書
- 山田かまち