出版社内容情報
横須賀を舞台にした友情物語。
六年生のよし子は端正な顔つきのテッちゃんに秘密を知られ憂鬱だった。中学二年の光毅は喧嘩の強いケイティになつかれて戸惑っていた。それぞれの友情が交錯する子どもたちのヨコスカストーリー。
【目次】
内容説明
ヘイトではなくリスペクトを。ホロ苦く、かけがえのない友情二つ。『徳治郎とボク』(産経児童出版文化賞大賞)と地続きの舞台、基地の街・横須賀。
著者等紹介
花形みつる[ハナガタミツル]
神奈川県に生まれる。著作に『ドラゴンといっしょ』(野間児童文芸新人賞)、『ぎりぎりトライアングル』(日本児童文学者協会賞、野間児童文芸賞)、『サイテーなあいつ』(新美南吉児童文学賞、産経児童出版文化賞推薦)など。2020年に『徳治郎とボク』(理論社)が産経児童出版文化賞大賞を受賞、JBBYオナーリスト2022年日本の文学作品にも選ばれた(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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まる子
24
戦後20年近く経った横須賀。1964年当時は米軍基地があり横須賀は発展した。著者が当時の横須賀を思い出しながら、日本人と当時「あいのこ」と呼ばれたハーフの子供たちの日常と、ハーフの中でも差別される黒人の見た目。その差別的な出来事が子供ごころにも悲しみをもたらす。同じ人間であるはずがなぜ?突然の別れに戸惑う10代。あの子はどこに行ってしまったのだろうか。また笑顔で会える日まで。花形みつるさんで、『徳治郎とボク』の地続きの町が舞台だから児童書かと思いきや、Cコードは一般書。微妙な位置のヨコスカストーリー。2025/11/14
信兵衛
23
戦後まだ間もない時期、保守的な日本人社会においては、自分たちが知らない世界への恐れ、抵抗意識があったからの、差別や偏見だったのではないかな、と思います。 不当な扱いから生じた突然の別れは、とても切ない。 いつか彼らが再会できることを、祈って止みません。2025/12/10
雪丸 風人
17
諦めず、考え抜いて、どうか自由を掴んでほしい。そんな祈りが響いてくる物語でした。舞台は日本が高度成長に向かう時代の基地のある町。当たり前にハーフの子がいる環境で生きる子どもたちを活写した物語です。家庭環境や肌の色による差別が子どもを歪ませるさまが胸に迫りました。偏見に晒され続け、強がる姿には共感が溢れそうでしたよ。極めつけはどこに行っても異邦人という苦悩!彼らに苦手意識を抱いていた姉弟の意識が、不可抗力のように関わりを持たされる中で少しずつ変わっていくさまに救われました。(対象年齢は13歳半以上かな?)2025/12/16
ビーグル犬大吉
7
地元横須賀の小説なので親近感があった。今のドブ板は当時ほどキケンな場所でないが、昭和の頃の郷愁を感じた。初めてベースに入った時、私も「日本にあるアメリカ」にカルチャーショックを受けた。朝鮮戦争、ベトナム戦争時、米兵と日本人の間にできた混血児は多かっただろう。セタやタミ―のような白人系でなく、父親が黒人だからという理由で濡れ衣を着せられたケイティの怒りは理解できる。突然街から出て行ったケイティに寂しさは感じるが、光毅との爽やかな友情は一瞬の救いと清涼感があった。ケイティといつか再会できたらと思わせる結末。2025/12/20
菱沼
3
1964年に始まり、1971年で一旦の終わりとなる物語。私もバーサンだから、この時代の記憶はある。男尊女卑。「あいのこ」「くろんぼ」という言葉。私の育った場所では米軍兵士との間の子どもはいなかったけれど、見た目は少しも違わないのに「朝鮮」と言われる人はいた。今、在日外国人を「外国人問題」とする政治家がいる。知ることと考えること、そして教育のことを改めて思う。いい物語だったけれど、特に光毅の章になってから「当時は」「あのころは」という言葉が地の文に目立ち、視点がどこにあるのか曖昧な印象はあった。2026/01/01




